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既製服が物語る『プラダを着た悪魔』におけるパトシリア・フィールドの功績とは?
2020.04.27
『プラダを着た悪魔』あらすじ
大学を卒業し、ジャーナリストをめざしてNYにやってきたアンディ。オシャレに興味のない彼女が、世界中の女性たちが死ぬほど憧れる仕事を手にしてしまった! それは一流ファッション誌“RUNWAY”のカリスマ編集長ミランダ・プリーストリーのアシスタント。しかし、それは今まで何人もの犠牲者を出してきた恐怖のポストだった! ミランダの要求は、悪魔的にハイレベル。朝から晩まで鳴り続けるケイタイと横暴な命令の数々、その上「センス、ゼロ!!」と酷評され、アンディはこの業界が努力とやる気だけでは闘えないことを思い知らされる。キャリアのためとはいえ、私生活はめちゃめちゃ。カレの誕生日は祝えないし、友達にも愛想をつかされる。この会社で、このままでいいの? 私って、本当は何をしたいんだっけ?
Index
原作のモデルはアナ・ウィンターか?
2003年、小説家でジャーナリストのローレン・ワイズバーガーによる著書「プラダを着た悪魔」がニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに、堂々6ヶ月に渡って掲載される。
この小説が驚異的なセールスを記録した理由は、物語のキーパーソンであるファッション誌”ランウェイ”の鬼編集長、ミランダ・プリーストリーが、原作者自身がかつてアシスタントとして仕えたことがある”ヴォーグ”の編集長、アナ・ウィンターをモデルにしているという噂があったからだ。
アナ・ウィンターと言えば、知る人ぞ知るファッション界の大立者。38歳の若さで米国版”ヴォーグの編集長に就任して以来、その卓越したセンスで同誌を業界屈指のトレンド雑誌に押し上げた。世界の名だたるデザイナーたちから敬愛され、また、その影響力の大きさから恐れられる存在である。
『プラダを着た悪魔』予告
パリ、ミラノ、ニューヨークで毎年2度開催されるファッション・ショーでは、トレードマークの黒いサングラスをかけてフロントローに座る姿がお馴染みだ。ウィンターがデザイナーたちにとっていかに特別な存在かは、老舗の重責を受け継いだラフ・シモンズの葛藤を描いた『ディオールと私』(14)を始め、ショーの舞台裏に密着した数々のファッション・ドキュメントを見れば明らかだ。
また、ウィンター本人の仕事ぶりに密着したドキュメンタリー映画『ファッションが教えてくれること』(09)では、その年の流行を左右する”ヴォーグ(9月号)”のページ構成が迷走する中で、彼女の決断で雑誌の方向性が決まっていく過程が描かれる。これを見ると、リーダーに求められるのはセンスや才能以前に、決断力だということが痛いほどよく分かる。ここは、肝に銘じておきたいと思う。