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『プリンセス・ブライド・ストーリー』劇場公開時はヒットせずも、ビデオ化で凄まじい人気を得たファンタジックコメディ

(c)Photofest / Getty Images

『プリンセス・ブライド・ストーリー』劇場公開時はヒットせずも、ビデオ化で凄まじい人気を得たファンタジックコメディ

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トリュフォーやレッドフォードも映画化を望んだ伝説的な原作小説



 脚本を執筆したのは、『明日に向かって撃て!』(69)と『大統領の陰謀』(76)でアカデミー賞に輝いた名脚本家のウィリアム・ゴールドマン。ゴールドマン自身が1973年に発表した傑作小説「プリンセス・ブライド」(早川書房刊、ハヤカワ文庫FT)を脚色したものだ。


 ロブ・ライナーは、コメディアンで映画監督でもある父親のカール・ライナーから原作本を渡され、その面白さの虜になった。そしてデビュー作『スパイナル・タップ』の成功を受けて、映画スタジオの重役から「次にやりたいプロジェクトは?」と訊かれた時に真っ先に挙げたのが『プリンセス・ブライド』の映画化だった。


 当時のやり取りをライナーはこう回想している。「向こうが「私たちはあなたのやりたいことを一緒にやりたい」と言うので、『プリンセス・ブライド』と答えたら「何でもいいけれどそれ以外で」と言われたよ」


 実は『プリンセス・ブライド』映画化の企画はすでに何度も頓挫していた。そもそもロブ・ライナーが父カールから原作本を渡されたのは、カールがゴールドマンから映画化について相談を受けていたからだった。一時はリチャード・レスター、ノーマン・ジュイソン、ロバート・レッドフォード、そしてヌーヴェルヴァーグの名匠フランソワ・トリュフォーまでもが企画に携わったが、いずれも日の目を見ず、異例なことに原作者のゴールドマンが映画化権を自腹で買い戻していた。


『明日に向かって撃て!』予告


 ゴールドマンは「映画では『明日に向かって撃て!』、小説では『プリンセス・ブライド』だけが人の目に触れることに耐えられる」と公言しているほどに、この二作には深い思い入れがあった。しかし幾度も企画倒れになったこと、そしてゴールドマンが納得できない映画化には決して首を縦に振らないであろうことから、業界内でも「実現不可能なプロジェクト」として知れ渡っていたのだ。


 ライナーが幸運だったのは、ゴールドマンがライナーの監督作を気に入っていたことと、原作の大ファンであるライナーが内容を熟知しており、作品のトーンの取り扱いが非常にデリケートだとわかっていたこと。ライナーは長年の憧れだったゴールドマンとの面会を実現させ、なんとその場でゴーサインをもらうことができた。



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