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『プリンセス・ブライド・ストーリー』劇場公開時はヒットせずも、ビデオ化で凄まじい人気を得たファンタジックコメディ

『プリンセス・ブライド・ストーリー』劇場公開時はヒットせずも、ビデオ化で凄まじい人気を得たファンタジックコメディ

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出演者の人生を変えた最高のキャスティング



 本作が成功した要因に、キャスティングの秀逸さが挙げられる。ハリウッドで波に乗っている新鋭監督だったライナーは、知名度で選ぶのではなく、あくまでも作品やキャラクターにふさわしいキャスティングにこだわった。


 ヒロインのキンポウゲ(字幕ではバターカップ)には、アメリカのシットコムの出演経験しかなく、映画は初めてだった二十歳のロビン・ライトを大抜擢。当初は英国人女優を探していたため候補に挙がっていなかったのだが、抜きん出た美貌と演技力、そしてアメリカ人ながらブリティッシュアクセントで話せたことが決め手になった。


 キンポウゲ恋の相手で本作のヒーローとなるウェスリー役には、『アナザー・カントリー』(83)で注目を集めていた23歳のケアリー・エルウェス。同作でエルウェスより遥かに大きな役を演じていたコリン・ファースも候補に挙がっていたのだが、往年の剣戟スター、エロール・フリンやダグラス・フェアバンクスを彷彿とさせる雰囲気と、コメディセンスを兼ね備えていたエルウェスが選ばれた。


 関係者を驚喜させたのが、プロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントが心優しい巨人のフェジックを演じたこと。身長が223cmという特撮いらずの巨漢で、ゴールドマンもアンドレをイメージして原作を書いていたという。しかし人気レスラーであることからスケジュール調整が難しく、ライナーが登板する以前にはブレイク前のアーノルド・シュワルツネッガーが候補だったこともあった。しかしシュワルツネッガーは『ターミネーター』(84)以降ギャラが高騰し、アンドレの都合がついたこともあって第一候補を起用することができたのだ。




 逆に第一候補ではなかったのが、狡猾なシチリア人ビジニ(原作本の表記はヴィツイーニ)を演じたウォーレス・ショーン。ライナーの最初の希望はイタリア系のダニー・デヴィートだったが、『トイ・ストーリー』(95)の恐竜レックスの声優としても知られる、ユダヤ系俳優のショーンに決まった。エージェントからデヴィートが第一候補だったと聞かされていたショーンは、ビジニ役に自分は不相応であるという強迫観念に取り憑かれ、撮影中は常にクビにされるのではないかと怯えていたという。


 選ばれた理由はそれぞれだが、ほとんどすべての出演者にとって『プリンセス・ブライド・ストーリー』で演じた役がキャリア最高の当たり役になった。主演のエルウェスを筆頭に、どのキャストも役の大小に関わらず「『プリンセス・ブライド・ストーリー』のあの人」として記憶されることを喜びと誇りを持って認めている。撮影当時10歳だったフレッド・サヴェージは、出演シーンが現代パートだったためにほとんどの出演者と共演することはなかったが、大人になってから剣士イニーゴを演じたマンディ・パティンキンを街で見かけ、「僕たちはハグをすべきだと思うんだけどどう?」と話しかけたという(もちろん二人はハグを交わした)。


 例外として、今や大女優となったロビン・ライト、ライナー監督の次作『恋人たちの予感』(89)に主演して俳優としても成功した人気コメディアンのビリー・クリスタル、『スパイナル・タップ』の主演のひとりで映画監督でもあるクリストファー・ゲスト、偉大なプロレスラーとして歴史にその名を刻んだアンドレ・ザ・ジャイアントの4名は、『プリンセス・ブライド・ストーリー』以外の仕事でも世間に広く知られている。ただし1993年に夭折してしまったアンドレを除く3人も、機会がある度にリユニオンに参加しており、口をそろえるように「特別な時間で最高の体験だった」と当時を振り返っている。


 ライナーのこだわりのキャスティングが、彼らから素晴らしい演技を引き出したことはもちろんだが、キャラクターの魅力はゴールドマンの脚本に負うところも大きい。本作の脚本は名台詞の宝庫で、メインキャストのほぼ全員に印象的なキラーフレーズが与えられているのだ。



 ケアリー・エルウェスは自分の墓石にはウェスリーの十八番のセリフ「As Your Wish(仰せのままに)」が刻まれるだろうと冗談混じりに語っている。ウォーレス・ショーンも道行く人からビジニの口癖である「Inconceivable!(信じられん!)」をリクエストされない日はないと明かしている。また映画公開30周年の2017年に多くのセレブが『プリンセス・ブライド・ストーリー』について語った映像を観ると、いかにたくさんのセリフが愛されているのかがわかる。



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