(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
応援上映の元祖『ロッキー・ホラー・ショー』が、現在も未来も愛され続ける理由とは
2020.06.17
SFやB級ホラーへの愛
ただ、この『ロッキー・ホラー・ショー』は、単に観客参加型という楽しみ方で愛され続けたわけではない。カルトムービーとして時を超えて崇められているのは、そもそも作り手のリチャード・オブライエンが、大好きなSFやB級ホラーに触発されて誕生した作品であり、それゆえに「ネタ」の宝庫であるからである。
オープニングナンバーの「Science Fiction, Double Feature」で言及されるのは、『地球の静止する日』(51)、『フラッシュ・ゴードン』シリーズ、『透明人間』(33)、『キング・コング』(33)、『イット・ケイム・フロム・アウター・スペース』(53)、『ドクターX』(32)、『禁断の惑星』(56)、『世紀の怪物 タランチュラの襲撃』(55)、『人類SOS!』(63)、『地球最後の日』(51)など。
映画版では当初、これらの作品のクリップを使うアイデアもあったようだが、プロダクションデザイナーのブライアン・トンプソンが反対し、マン・レイの絵画からインスピレーションを受けて、あの唇のアップとなった。結果的に、他に類を見ない伝説的オープニングと語り継がれることに。ちなみに唇はマジェンタ役のパトリシア・クインで、歌声はリチャード・オブライエンである。
『ロッキー・ホラー・ショー』(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
また作品の中には、多くの映画会社のシンボルマークらしきものが登場する。たとえばワーナー・ブラザースの盾、R.K.O.の雷やラジオ塔、コロンビアというキャラクター名は、もちろん同名スタジオからだが、短い髪の女性という点がシンボルの女神と同じ。大きな唸り声を上げるネコは、MGMのライオン。光る地球儀はユニバーサル。コロンビアが身につけるミッキーマウスの耳は、もちろんディズニーである。
マジェンタの髪型が『フランケンシュタインの花嫁』(35)からという直接的引用も多いし、フランクの城の撮影で使われたオークリー・コートという屋敷は『吸血鬼ドラキュラの花嫁』(60)など数々のハマーホラー映画でも使われている(現在はホテルに改装されている)。