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応援上映の元祖『ロッキー・ホラー・ショー』が、現在も未来も愛され続ける理由とは

(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

応援上映の元祖『ロッキー・ホラー・ショー』が、現在も未来も愛され続ける理由とは

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映画史を変えたトランスヴェスタイトのヒーロー



 SFやホラー映画以外でも、冒頭の結婚式のシーン(なぜかフランク・フルターらが密かに登場)は、グラント・ウッドの有名な絵画「アメリカン・ゴシック」がモチーフになっており、実際に、その絵が後の城のシーンで壁に掛かっていたりする。


 また、観客に語りかける解説者として出てくる犯罪学者の、机上に置かれた2つの写真立てが、ひとつはルーズベルト大統領で、もうひとつはロナルド・レーガン。映画製作当時、レーガンはまだ大統領になっていなかったので、まるで予言していたかのよう!……といった具合に、多くの楽しい「発見」が用意されているのだ。


 そして注目してほしいのは、フランクの手術用ガウンに付いているピンク色の三角形マーク。これは第二次世界大戦中、ナチスの収容所でゲイ男性に目印として付けられた「ピンク・トライアングル」で、収容所では下向きの三角形だったこのマークが上向きになっている。迫害の象徴であったマークをあえて逆向きにしたこのピンク・トライアングルは、現在に至るまで、LGBTQプライドのシンボルだ。



(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved. 


 フランク・フルターというキャラクターは、トランスヴェスタイト(異性装)を広く、そして前向きに認知させたという点で、映画史にとって重要であると感じる。それ以前も、たとえばエド・ウッドの『グレンとグレンダ』(53)や、『お熱いのがお好き』(59)のようなコメディ、『サイコ』(60)のようなスリラーで見られてきたが、ここまで多くの人に、「ヒーロー」として愛されたトランスヴェスタイトは、フランクが初めてではないだろうか。


 ティム・カリーによると、フランクを「パンセクシュアルとして演じた」という。最近、また耳にすることの多くなった、このパンセクシュアルという言葉は「全性愛」という意味で、肉体の性や心の性にかかわらず、すべての人を受け入れる性的志向。つまりセクシュアリティにこだわること自体、バカバカしいと訴えているようでもある。


 1970年代、すでにフランク・フルターは多様性のフロントランナーに立っていたわけで、その進歩的な作風が、『ロッキー・ホラー・ショー』が現在も、そして未来も愛され続ける理由なのである。



文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。



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『ロッキー・ホラー・ショー』

ブルーレイ発売中 1,905円+税 

発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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