2019.11.21
『ブルース・ブラザース』あらすじ
スーツ、帽子、ネクタイ、サングラスと、全身ビシッと黒ずくめでキメた二人は、ジェイク・ブルース(ジョン・ベルーシ)&エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)。義兄弟のちぎりを交わすこの二人が出会ったのは、幼少時代の孤児院でのこと。久々に孤児院を訪れた二人は相変わらずのいい加減ぶりをシスターにとがめられるが、そこで孤児院が資金難で存亡の危機に立たされたことを知る。孤児院を救うため、かつての仲間とブルース・ブラザーズ・バンド″を再結成し、コンサートで稼いだお金を孤児院に寄付しようと考える二人だが、それはハチャメチャ珍道中の幕開けだった!
Index
- 始まりはサタデー・ナイト・ライブの人気キャラクター
- お笑いに終わらない、R&Bバンドとしての成功、そして映画
- 復活を遂げたブラックミュージックのレジェンドたち
- 音楽のビートを刻む豪快なカーアクション
- 奇跡の続編、そして唯一無二のマスターピースへ
始まりはサタデー・ナイト・ライブの人気キャラクター
『ブルース・ブラザース』――この映画を語るとき、何から話していいものか、いつも戸惑う。とにかくエネルギッシュだから。笑いも、カーアクションも、音楽も、ダンスも、そして痛快なストーリーや破壊のスペクタクルも。どれをとっても規格外でパワフル。見る度に活力が体内にみなぎってくる。こんな感触を覚えるのは筆者だけではないだろう。で、あれこれと迷いつつも本稿では音楽とカーアクションの方面から、その魅力について記していこう。
まずは基本をおさらい。ジェイクとエルウッドのブルース・ブラザースは、全米のコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の人気キャラクターとして産声を上げた。ブルース、すなわち伝統的な庶民的黒人音楽を愛し、それを現代に甦らせようとする二人組。デブのジェイクにジョン・ベルーシ、のっぽのエルウッドにダン・エイクロイド。いずれも米国のコメディ史に名を残す存在だ。
『ブルース・ブラザース』予告
ベルーシはジョン・ランディス監督のコメディ映画『アニマル・ハウス』(78)の撮影の空き時間に、R&Bやソウル、ブルースなど、1950~60年代のブラックミュージックを聴きこんだことから、その世界にどっぷり浸かるようになった。一方のエイクロイドは、ブルースハープの奏者でもあり、ベルーシにこのキャラの話を持ちかけられ、乗ることになった。
ブルース・ブラザースはお笑いキャラである。が、奏でる音楽は本気だった。それはバックのバンドからも明らかだ。ギターのスティーヴ・クロッパーとベースのドナルド・ダック・ダンは1960年代の黒人音楽の名門スタックス・レコードのハウスバンドに在籍していたレジェンド的なプレーヤーで、ブッカーT&MG’sのメンバーとしても多くの楽曲を残している。人気コメディアンだったベルーシから直々に電話をもらった彼らは、最初はからかわれていると思ったという。また、ドラムのウィリー・ホールはその後のスタックスの音楽的な屋台骨を担っていた。これだけの凄腕のミュージシャンを迎えた以上、ブルース・ブラザースのふたりもお遊びで終わらせるわけにはいかない。