2020.06.20
発掘された才能
本作は、エイリアンがロンドンにあるブロック(高層団地)を襲うという、SFアクションだ。エイリアンの造形を楽しめるSF映画でもあり、ストリート・ギャングの少年たちのくだりは、クライムストーリーの一面もある。また、少年たちのアドベンチャー的なノリも楽しい。イギリスだけでなく海外でも大きな人気を得ており、タランティーノは2011年のベスト映画の一つに本作を挙げている。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)や『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(07)などでコメディに定評のあるエドガー・ライトが製作総指揮を務め、エドガー作品でお馴染みのニック・フロストも出演。また、日本の漫画「NARUTO -ナルト-」からTV番組「アメリカズ・ゴット・タレント」まで多様なカルチャーがセリフに反映されているのも、大きな特徴だ。
『アタック・ザ・ブロック』(c)Photofest / Getty Images
監督と出演者のその後も、本作の人気を物語っており、監督のジョー・コーニッシュは、エドガー・ライトと一緒にアメリカに招かれ、スピルバーグの『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11)と、マーベル作品『アントマン』(15)の、それぞれの脚本を担当するまでになった。
ストリートギャングのリーダー格モーゼスを演じたジョン・ボイエガは、今や主役格として引っ張りだこで、何と言ってもあの『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)に大抜擢されている。
少年たちと一緒にエイリアンと戦う女性、サムを演じたジョディ・ウィテカーは、イギリスでロングラン放送されているTVシリーズ「ドクター・フー」の主役に起用された。「ドクター・フー」の長い歴史の中で、女性が主役になったのは初めてのことである。