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『アタック・ザ・ブロック』舞台のブロック(高層団地)に込められた、少年たちの英雄伝

『アタック・ザ・ブロック』舞台のブロック(高層団地)に込められた、少年たちの英雄伝

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ブロックが意味するもの



 そして本作で何よりも忘れてはならないのが、「ブロック」を舞台にしたことだ。イギリス英語のブロックは、いわゆる「団地」ではあるが、ただの団地というだけでなく、そこに住む人たちの殆どが低所得層と言われる人たちである。そして、本作でヒーローとなるストリート・ギャングの少年たちは、ブロックに住むその層の子どもたちだ。


 日本のタワーマンションもそうだが、高層住宅(ブロック)は、社会のヒエラルキーを比喩しているとよく言われる。本作と同年に公開されたインドネシア映画『ザ・レイド』(11)も同じで、本作ともに、イギリスの作家J・G・バラードの小説「ハイ・ライズ」に影響されていると言われている。


 また、『ザ・レイド』では、ブルース・リーの『死亡遊戯』(78)的に上層階へと進むごとに敵が強くなっていき、本作では『ニュー・ジャック・シティ』(91)のように、違法に富を得た者が最上階に住んでいる。




 ブロックは、そこに住んでいない者たちにとっては、単なる高層ビルに過ぎないかもしれない。それでも、そこに住む者たちにとっては、大切な居場所である。本作は、自分たちの場所は自分たちで守るという、英雄伝でもあった。


 ラスト、エイリアンと戦った少年たちに対して、「所詮ストリートギャングだ」と警察が彼らを見下す場面がある。しかしその一方で、少年たちと一緒に戦ったサムのように、ストリートギャングとはいえ、少年たちがそれだけじゃないことに気づいた人もいる。


 SFエンターテインメントにも関わらず、このように隔たりをなくそうとする動きが作品から垣間見られるのは、一筋の光りのように思えてならない。



文:杏レラト<あんずれらと>

雑誌「映画秘宝」(洋泉社)を中心に執筆。著書『ブラックムービー ガイド』(スモール出版)が発売中。



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(c)Photofest / Getty Images

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