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『ホワイトハンター ブラックハート』非破滅型作家イーストウッドが描く、破滅型作家ジョン・ヒューストンの物語

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『ホワイトハンター ブラックハート』非破滅型作家イーストウッドが描く、破滅型作家ジョン・ヒューストンの物語

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映画史上でも例を見ない“エクストリームな人格破壊者”



 「映画監督がロケでアフリカに赴くが、撮影そっちのけで象狩りに熱中してしまう話」なんぞ、どう考えても客が入らなさそうな題材だが、イーストウッドは次回作にアクション映画『ルーキー』(90)を撮る条件で、ワーナーに『ホワイトハンター ブラックハート』の製作を取り付けたらしい。それほどイーストウッドはこの原作に、というよりも、ジョン・ヒューストンの生き様に惚れ込んでいた。


 残念ながら、イーストウッドはジョン・ヒューストンと対面することは叶わず。女優である娘のアンジェリカ・ヒューストンに相談をもちかけ、企画を進めている間にジョン・ヒューストンがこの世を去ってしまったからだ。だがそのぶんジョン・ヒューストンを自由に描くことができると考え、撮影メモや彼に関する書籍に目を通し、キャラクターを膨らませていく。


『ホワイトハンター ブラックハート』予告


 イーストウッドが徹底的に研究し、イーストウッド自身が演じたジョン・ヒューストン(映画ではジョン・ウィルソンという名前に変更されている)は、映画史上でも例を見ない“エクストリームな人格破壊者”としてスクリーンに登場する。人の意見にはいっさい耳を傾けない独裁者であり、本能の赴くままに行動する快楽主義者。それでいて、人種差別を心底嫌う正義感の強いヒューマニスト。まさに天上天下唯我独尊!周囲の人間は、彼の無軌道かつ自分勝手な振る舞いに振り回されっぱなし。


 良識ある人格者のピート・ヴェリル(ジェフ・フェイヒー)に、「象を殺す蛮行のために、映画を水の泡にするのか?」と難詰されると、「象狩りは蛮行ではない。それは罪なんだ。だから何に代えても行いたい。分かるか?分からんだろうな。俺にも分からんのだから」と放埒コメントをカマす。



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