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『ホワイトハンター ブラックハート』非破滅型作家イーストウッドが描く、破滅型作家ジョン・ヒューストンの物語
2020.07.14
『ホワイトハンター ブラックハート』あらすじ
ハリウッド全盛の1950年代。才気ある強引な監督ジョン・ウィルソンは、作品第一主義のために製作陣との衝突を繰り返し多大な負債を抱えながらも、神業的な才能で成功を手に入れていた。そして地上の最も高貴な動物“アフリカ象”に魅せられた彼は、アフリカでのロケを敢行。自分の手で象を射止めるまで撮影に入らないと言い出す・・・
Index
イーストウッドが惚れ込んだジョン・ヒューストンの生き様
ジョン・ヒューストン。『マルタの鷹』(41)、『キー・ラーゴ』(48)、『白鯨』(56)などで知られる映画監督であり、『黄金』(48)ではアカデミー監督賞と脚色賞を受賞。晩年はロマン・ポランスキー監督の『チャイナタウン』(74)など、強烈な印象を残す俳優としても活躍した、偉大なるハリウッド・レジェンドの一人である。
そしてジョン・ヒューストンは、豪放磊落なワイルド系だったこともよく知られている。5回に渡って結婚と離婚を繰り返したり、リノのカジノに毎日通って一文無しになってしまったり、俳優のエロール・フリンと骨を折るほどの殴り合いを1時間続けたり(ヒューストンは元ボクサーなのだ!)。映画プロデューサーのジョージ・スティーブンス・ジュニアから「人生を最大限に生きた」と称された男の生涯は、「ザ!世界仰天ニュース」に取り上げられそうなくらい、豪快エピソードのオンパレード。
『アフリカの女王』予告
極め付けは、『アフリカの女王』(51)でのエピソードだろう。ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘップバーンを主演に迎えた米英合作の大作映画にも関わらず、ジョン・ヒューストンは撮影そっちのけで象狩りに熱中!現場は混乱を極め(そりゃそうだろう)、後年キャサリン・ヘプバーンは『アフリカの女王とわたし』という本を出版して、当時のジョン・ヒューストンの振る舞いを激しく非難している。
そんな阿鼻叫喚の地獄ロケに同伴していた脚本家ピーター・ヴィアテルが、当時の様子をノベライズした小説を1953年に発表。そこからおよそ40年の時を経て、ジョン・ヒューストンのファンを公言するクリント・イーストウッドが映画化した作品が、この『ホワイトハンター ブラックハート』(90)なのである。