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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』アメリカの歴史を体現するマクフライ家とヒルバレーの物語

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』アメリカの歴史を体現するマクフライ家とヒルバレーの物語


未来と過去へ飛び回っても、物語の舞台はいつも同じ



 ヒルバレーの名所といえば、三部作を通して重要な役割を果たす時計台(裁判所)。時計台前の広場に面して商店が集まっており、町の中心を成している。マーティの両親ジョージとエレインが青春時代を過ごした1955年頃はまさに町の最盛期で、広場は華やかで幸せなムードがあふれている。まあ、ビフみたいなロクデナシもウロウロしているけれども……。


 ところが、だ。やがて町の周辺に新興住宅地が整備されるようになり、核家族化が進んだことも手伝って住民の多くは郊外に移り住む。1955年にはすでに、後にマクフライ家が引っ越しする“リヨン団地”の造成が始まっている。1985年にはドクとマーティがタイムトラベル実験を行うローン・パイン・モールのような郊外型のショッピングモールもでき、時計台広場の周辺が寂れつつあるのはボブ・ゲイルが当時の世相を反映させたリアリズムだ。


 時計台の時計が30年前に壊れたきり修理されていないというストーリー上重要な設定も、ヒルバレーという町自体の勢いが失われてしまったことが原因だろう。ちなみにローン・パイン・モールの所在地は1955年にローン・パイン牧場だった場所。もともとは“ツイン・パインズ牧場”と呼ばれていたのが、1955年にやってきたマーティが牧場名の由来であるツイン・パインズ(二本松)の一本を倒してしまったのでローン・パイン(一本松)牧場と改名し、その跡地がモールになったのだ。



(C) 1985 Universal Studios. All Rights Reserved.


また『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の1985年で市長を務めているアフリカ系市民のゴールディ・ウィルソンは、1955年ではカフェの下働きをしていた。


 アフリカ系の市長が誕生した背景にはアフリカ系らマイノリティ層の住民の支持が必須だ。アメリカでは中流層が郊外に移るドーナツ化現象によって、町の中心部にアフリカ系の貧困層が住むようになり、格差と人種差別を助長するケースが頻発して社会問題化した。ヒルバレーでも同じ現象が起きていたと考えられる。ウィルソンが市長を目指して一念発起したことは確かだが、1960年代に公民権運動が巻き起こり、アフリカ系アメリカ人が投票権を勝ち取った史実がなければウィルソンが市長に選ばれることもなかっただろう。



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