2020.09.29
ジェームス・ブラウンを映し出す脚本
1988年、シンガーとして頂点を極めたジェームス・ブラウンは、少年時代を過ごしたジョージア州オーガスタの事務所にいた。自分のトイレを勝手に使われたことに腹を立て、ショットガンをぶっ放す。
冒頭からいきなりジェームス・ブラウンの個性が分かる場面。彼のユニークで唯一無二の存在感と面白い性格が明らかになる。彼だから許されたことで、波乱万丈と呼ぶにふさわしいエピソードだ。
音楽・パフォーマンスに関しては人一倍厳しいジェームス・ブラウン。自身のバンドを最高級にするためならば、聞きたくない言葉だって相手に投げかける。プロとして当然のことのように、鬼にもなる。また時には、ビジネスマンとのしても顔をのぞかせることもあった。
『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』(C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.
本作の軸となっているのが、ジェームス・ブラウンの右腕ボビー・バードとの愛憎劇。出会いからバンドの結成、別れ、そして再会までも描かれているが、演出上ドラマチックに描くため、史実と違う部分はいくつかあるようだ。
また本作は、黒人アーティストとして、業界での厳しさや苦悩も描きだす。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が人生を捧げた公民権運動へのサポートなども描かれ、アーティストとは別の顔、人間ジェームス・ブラウンも描かれている。