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『ブレックファスト・クラブ』年を経ると見えてくる、作品に隠された郷愁と諦念

(c)Photofest / Getty Images

『ブレックファスト・クラブ』年を経ると見えてくる、作品に隠された郷愁と諦念

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大人になると分かってくる、バーノン先生の境遇



 1985年2月に全米公開されたこの映画は、遅れて1986年5月に日本で公開されたが、小規模公開だった。そのため、映画館でリアルタイムに鑑賞した日本の観客は少ないはずだ。しかし、未だにこの作品は映画ファンに愛され続けている。


 その理由のひとつには、現代の若者が観ても普遍的な「若さゆえの悩み」が描かれている点が挙げられる。一方で、かつて若者だった者たちが観ても「変わらないもの」がある。それは若かりし時代への郷愁ではなく、大人になった自分が「変わってしまった」という認めたくない事実との対峙を強いられる点にある。



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 休日登校させられた5人の生徒たちを指導・監督するバーノン先生を演じているのはポール・グリーソン。後に『ダイ・ハード』(88)で、マクレーン刑事の話に耳を貸さず、テロリストの反撃にあってしまうロス市警の警視を演じた俳優だ。教師の側に立ってみれば、態度の悪い生徒が登校するために、彼は休日出勤をしていることになる。劇中、彼にはささやかな家庭があり、子どももいることを清掃係員のカールに語る場面がある。バーノン先生の家族にしてみれば、休日に父親がいないなんて職業柄とはいえ迷惑な話でしかない。


 しかし、この映画を初めて観た時、バーノン先生の境遇については考えが及ばなかったのである。むしろ、「教師は我々生徒の敵!」という5人の生徒たちの側に立ち、目障りな存在と見ていたのだ。それもそのはず、日本で公開された1986年、筆者は生徒たちと同じ高校生だったからだ。それがどうだろう、バーノン先生と清掃係員のカールとの会話が、今となってはとても理解できるのである。「教師になって22年が過ぎた、子どもは年々生意気になっていく」とボヤくバーノン先生に対して、カールはこう指摘する。「それは違う、年々変わっているのはあんたの方さ」。



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