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『フェアウェル』愛情に嘘はつけない ――“違い”を認める優しき家族劇

『フェアウェル』愛情に嘘はつけない ――“違い”を認める優しき家族劇


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全米の上映館が4館から約900館にまで拡大



 大好きだから、噓をついた。でも、本当は素直でいたかった。

 これは、東洋や西洋の枠を超えた、とびきりの愛の物語。


 ようやく観られる、という安堵感が大きいのではないか。日本ではもともと4月に公開予定だった『フェアウェル』(19)が、新型コロナウイルスの影響による公開延期を乗り越え、ついに国内のスクリーンに映し出される。


 第77回ゴールデングローブ賞において、オークワフィナが主演女優賞を受賞(ミュージカル・コメディ部門)。その他も、ゴッサム・インディペンデント映画賞の主演女優賞や、2019年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞では、インディペンデント映画トップ10にランクインした。


 ちなみに、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞でランクインした他の作品は『名もなき生涯』『ジュディ 虹の彼方に』『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』『ミッドサマー』『ナイチンゲール』『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』『ワイルド・ローズ』など。興行面でも、全米4館のスタートながら最終的には900館近くまで拡大。世界興行収入は2,200万ドル超で、日本でも高評価を得た『ブックスマート』(19)とほぼ同格だ。



 もうひとつ、『フェアウェル』が話題を集めた要素。それは、A24の配給作品であることだろう。『ムーンライト』(16)『レディ・バード』(17)『ミッドサマー』(19)……もはや説明不要の映画スタジオで、どの配給作品もセンスの塊という彼らが配給したとなれば、期待も高まるというもの。


 さらに本作は、「アジア人による映画が米国で評価された」という文脈でも意義深いものでもあるのだが、『クレイジー・リッチ!』(18)や『パラサイト 半地下の家族』(19)等々の躍進、さらにNetflix等の配信作品も入れれば、ここ数年で大きく流れが変わっていることもあり、本稿ではその部分については省かせていただきたい。


 というのも、あくまで私見ではあるのだが、これまでA24が手掛けてきた作品のラインナップから見ていくと、そもそも彼らは人種や国という“枠”にとらわれず、「良い映画」を届けているように感じられるから。『フェアウェル』もその一環で、ルル・ワン監督が語っているように、なかなか手を挙げてくれるプロデューサーに出会えなかったという背景や、A24サイドでもマーケティング的に試行錯誤があったかとは思うのだが、これまでの自社配給作品通り、クオリティの高さ、オリジナリティの高さが先に立っている。


 余談だが、先日予告編が発表されたA24の新作『Minari』(20)も、アメリカンドリームを目指して渡米してきた韓国人家族の物語だ。『First Cow』(20)も移民の交流を描いた作品であり、アジア系のキャラクターが登場する。





 『フェアウェル』はそういった特徴を抜きにして、まず抜群に面白い。だからA24が配給し、ヒットして賞レースにも絡んだ。結局、そこに尽きるのではないか。実際、A24以外にもNetflix、Amazon、サーチライト・ピクチャーズが獲得に動いていたという。本作は映画として、どうしようもないほどに魅力的なのだ。


 今回はそんな、『フェアウェル』の面白さに注視して、ご紹介していきたい。



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