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『裸のランチ』クローネンバーグ流“変態”的世界の極みは、こうして生まれた!

NAKED LUNCH Copyright(c) 1991 Recorded Picture Company (Productions) Limited Naked Lunch Productions Limited

『裸のランチ』クローネンバーグ流“変態”的世界の極みは、こうして生まれた!

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原作者バロウズの人生と創作の秘密に迫る試み



 1988年、クローネンバーグは『ミディアン』(90)への役者としての出演の合間を縫って、脚本の執筆に着手する。原作の世界観をベースにして、「おかま」などのバロウズの他の著作、そしてバロウズ自身の体験を取り入れてストーリーを組み立てていった。


 舞台は1953年のニューヨーク。作家になる夢を諦め、害虫駆除の仕事をしている主人公リーは、妻とともに麻薬に溺れたあげく、“ウィリアム・テルごっこ”と呼んでいた、頭上のリンゴを拳銃で撃ち落とす遊びに興じ、誤って妻を殺してしまう。動転した彼は、バーで出会ったマグワンプという怪生物の指示により、インターゾーンと呼ばれる街に身を隠し、スパイ活動をして報告書を送るというミッションを引き受ける。



『裸のランチ』NAKED LUNCH Copyright(c) 1991 Recorded Picture Company (Productions) Limited Naked Lunch Productions Limited


 麻薬の密造人や関係の破綻した作家夫婦、妖しい男娼など、リーに近づいてくるインターゾーンの人々。ゴキブリと同化したタイプライター”クラークノヴァ”に向かってマグワンプへの報告を打ち続けるリーは、やがて驚くべき事実に直面することになる


 主人公リーがバロウズの分身であることは、ウィリアム・テルごっこからも明らかで、この遊びで内縁の妻を射ってしてしまった悲劇を経験しているバロウズも、最初に脚本を読んだときはとまどったという。それでも彼は、一本の映画に投入したクローネンバーグの高いレベルでの芸術的技巧に感服した。クローネンバーグはその後もバロウズと密に連絡をとり、物語を作り上げていく。「バロウズはインターゾーンの法王だ。僕は彼に祝福して欲しかったんだ」と、クローネンバーグは振り返る。



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