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『J・エドガー』ディカプリオがエキセントリックな“性格俳優”へと覚醒した記念碑的作品

(c)Photofest / Getty Images

『J・エドガー』ディカプリオがエキセントリックな“性格俳優”へと覚醒した記念碑的作品

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アイドル俳優からハリウッド・スター、そして性格俳優へ



 知的障害を持つ少年アーニーを演じた『ギルバート・グレイプ』(93)で、アカデミー賞助演男優賞に弱冠19歳でノミネート。それ以降も、『太陽と月に背いて』(95)の若く美しい詩人アルチュール・ランボー、『ロミオ+ジュリエット』(96)の健康不良少年ロミオ、そして『タイタニック』(97)の悲劇の英雄ジャックを演じ、世界的大スターとなったレオナルド・ディカプリオ。甘いベビーフェイスで王子様オーラを漂わせ、世界中に“レオマニア”と呼ばれる熱狂的ファンを産み出した彼は、’90年代をアイドル俳優として駆け抜けた。


 ゼロ年代に入ってからは、マーティン・スコセッシ、スティーヴン・スピルバーグ、リドリー・スコット、エドワード・ズウィックなど、世界的巨匠と手を組んで大作映画に次々と出演。このまま、ケーリー・グラント、ジェームズ・ステュアート、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードと肩を並べるような、正統派ハリウッド・スターとしての王道を突き進むもの…と思いきや!テン年代に入ると、レオ様は我々の予想の斜め上を行くようなスタイルにシフト・チェンジする。



 『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)では残虐極まりない農園領主、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)では最低最悪な金の亡者、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)では泣き言ばかりの自己中俳優。世界中の女性ファンを熱狂させてきたディカプリオは、かつてのファンを根こそぎ駆逐するがごとく、感情移入しづらいエクストリームな人物ばかりを演じ始めたのだ。もはや、意図的にヒーロー的な役柄を放棄しているとしか思えない役のチョイスぶり。アイドル俳優からハリウッド・スターへと栄光の階段を駆け上り、突然エキセントリックな性格俳優へ転じるという、常識では考えられない変化を遂げたのだ。


 その先駆けとなった作品が、ゲイで猜疑心の強いのFBI長官フーヴァーを演じた、『J・エドガー』(11)だったのは間違いないだろう。



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