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『J・エドガー』ディカプリオがエキセントリックな“性格俳優”へと覚醒した記念碑的作品

(c)Photofest / Getty Images

『J・エドガー』ディカプリオがエキセントリックな“性格俳優”へと覚醒した記念碑的作品

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『J・エドガー』あらすじ

1960年代。公民権運動が盛り上がるアメリカで、初代FBI長官、ジョン・エドガー・フーバーは回顧録の作成を開始する。時は遡り1919年、司法省に勤務していたフーバーは、新設された急進派対策課を任される。その後、FBIの前身である司法省捜査局の長官代行となったフーバーは、片腕となるクライド・トルソンと秘書のヘレンだけを信頼し、「正義」を実現するために自分への権力の集中までも辞さなくなっていくのだが…。初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーの人生を、クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演で映画化した伝記ドラマ。


Index


アイドル俳優からハリウッド・スター、そして性格俳優へ



 知的障害を持つ少年アーニーを演じた『ギルバート・グレイプ』(93)で、アカデミー賞助演男優賞に弱冠19歳でノミネート。それ以降も、『太陽と月に背いて』(95)の若く美しい詩人アルチュール・ランボー、『ロミオ+ジュリエット』(96)の健康不良少年ロミオ、そして『タイタニック』(97)の悲劇の英雄ジャックを演じ、世界的大スターとなったレオナルド・ディカプリオ。甘いベビーフェイスで王子様オーラを漂わせ、世界中に“レオマニア”と呼ばれる熱狂的ファンを産み出した彼は、’90年代をアイドル俳優として駆け抜けた。


 ゼロ年代に入ってからは、マーティン・スコセッシ、スティーヴン・スピルバーグ、リドリー・スコット、エドワード・ズウィックなど、世界的巨匠と手を組んで大作映画に次々と出演。このまま、ケーリー・グラント、ジェームズ・ステュアート、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードと肩を並べるような、正統派ハリウッド・スターとしての王道を突き進むもの…と思いきや!テン年代に入ると、レオ様は我々の予想の斜め上を行くようなスタイルにシフト・チェンジする。


『J・エドガー』予告


 『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)では残虐極まりない農園領主、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)では最低最悪な金の亡者、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)では泣き言ばかりの自己中俳優。世界中の女性ファンを熱狂させてきたディカプリオは、かつてのファンを根こそぎ駆逐するがごとく、感情移入しづらいエクストリームな人物ばかりを演じ始めたのだ。もはや、意図的にヒーロー的な役柄を放棄しているとしか思えない役のチョイスぶり。アイドル俳優からハリウッド・スターへと栄光の階段を駆け上り、突然エキセントリックな性格俳優へ転じるという、常識では考えられない変化を遂げたのだ。


 その先駆けとなった作品が、ゲイで猜疑心の強いのFBI長官フーヴァーを演じた、『J・エドガー』(11)だったのは間違いないだろう。



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