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『フォレスト・ガンプ/一期一会』名匠ゼメキスが最新技術を駆使して”アメリカの姿”を描いた、90年代ハリウッド映画の金字塔

(c)Photofest / Getty Images

『フォレスト・ガンプ/一期一会』名匠ゼメキスが最新技術を駆使して”アメリカの姿”を描いた、90年代ハリウッド映画の金字塔

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ゼメキスの長編デビュー作にはビートルズが登場!?



 思えば、ゼメキスはかねてより、異なるレベルの映像を融合させることにこだわり続けてきた人だった。『ロジャー・ラビット』(88)などは、アニメーションと実写の融合を試みた非常にわかりやすい例と言えるだろう。


 さらに何らかの試行錯誤の跡が見つからないかと、フィルモグラフィの源流を遡ってみたところ、私は、ゼメキスの初長編監督作『抱きしめたい』(78)の興味深い演出にたどり着いた。


 この映画は、ビートルズがアメリカ上陸して大旋風を巻き起こした1964年を舞台に、「彼らに会いたい!」と切望する登場人物たちが滞在先のホテルに潜り込もうとする物語だ。当然ながら、観る側にとっての最大の関心事は「いかにしてビートルズが登場するのか?」という点に尽きる。この難問に対して当時20代中頃のゼメキスが導き出した答えが、とても微笑ましい。



 彼は物語の展開に合わせて、ビートルズの足元や後ろ姿だけをボディダブルのような形で観客に見せ、夢を壊さずに彼らの存在を描くことに注力している。そしてクライマックス、満員の観客が熱狂して失神者が続出する「エド・サリバン・ショー」の収録場面では、演奏するメンバーを直接映すことなく、うまく機材などで顔を隠しながら、そこにある無数のTVモニターや撮影カメラの画面上に、当時のリアルな番組映像を映し出すという手法がとられている。すなわち、極めてアナログな撮影テクニックではあるが、ゼメキスは貴重な記録映像とフィクショナルな劇映画とを、一つの画面上で組み合わせ提示してみせたのである。


 結果的に、長編デビュー作『抱きしめたい』はあまり客が入らず、興行的には不発に終わったという。だが、『フォレスト・ガンプ/一期一会』を経由して『抱きしめたい』を観ると、ゼメキスがデビュー以来持ち続けてきたビジョンの進化の過程が伺えて、そのブレのなさに感銘を受ける。


 出会うはずもない人々を画面上で交わらせたり、異なる質感の映像を画面上で融合させるという手法は、きっとこの頃から彼の中で脈打ち、彼なりのやり方で実践されてきたのだろう。彼は物語を伝えるための道具として技術を使う。その志向性は『抱きしめたい』から40年以上、『フォレスト・ガンプ/一期一会』から30年近くが経つ今なお変わっていない。今後も待機作は目白押しのようだが、今後の映画界で彼がいかなる映像を紡ぎ出していってくれるのか楽しみだ。



文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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作品情報を見る




『フォレスト・ガンプ 一期一会』

4K ULTRA HD + Blu-rayセット: 5,990円+税

Blu-ray<デジタル・リマスター版>: 1,886 円+税

DVD (1枚組): 1,429 円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

(C) 1994, 2019 Paramount Pictures.

※2021年1月の情報です。

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