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『フィッシャー・キング』 奇才テリー・ギリアムがこれまでの技法を封印して挑んだ心温まるヒューマンドラマ

(c)Photofest / Getty Images

『フィッシャー・キング』 奇才テリー・ギリアムがこれまでの技法を封印して挑んだ心温まるヒューマンドラマ

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アカデミー賞をはじめ、賞レースでも大注目



 完成した映画『フィッシャー・キング』はハリウッドで大きな話題となり、高い評価と称賛を浴びた。アカデミー賞では5部門にノミネートされ、マーセデス・ルールが助演女優賞オスカーを獲得。ロビン・ウィリアムズの主演男優賞受賞は叶わなかったものの、ゴールデン・グローブ賞にて同部門の受賞に輝いた。いずれにしてもギリアムの作品が、これほど観客と業界内から同時に絶賛され、喜びと共に愛されたのは初めてだった。


 ”我”を抑えつつも自分の持ち味を発揮した本作で、ギリアムは紛れもなく別次元の境地へ達した。このことは大きな自信にもつながっただろうし、傷も十分癒えたはず。こうしてリフレッシュして英気を養ったことで、また再び自分の領域で敢然と戦うモチベーションが湧いたのだと思う。



 結果、90年代の終わりになるとギリアムは、例の「ドン・キホーテ」をめぐる終わりなきカオスな闘いへと突入する。


 ドキュメンタリー作品『ロスト・イン・ラマンチャ』(01)で頭を抱えて発狂しそうになっているギリアムを見ていると、穏やかな空気のもと創造性を育んだ『フィッシャー・キング』の記憶が、まるで砂漠の真ん中にほんのわずかな時間だけ出現したオアシスのように思えてくるのである。


<参考文献>

「テリー・ギリアム/映像作家が自身を語る」イアン・クリスティ著、広木明子訳、フィルムアート社(1999/12)


「テリー・ギリアム大全」

ボブ・マッケイブ著、川口敦子訳、河出書房新社(1999/10)



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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