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『フィッシャー・キング』 奇才テリー・ギリアムがこれまでの技法を封印して挑んだ心温まるヒューマンドラマ

(c)Photofest / Getty Images

『フィッシャー・キング』 奇才テリー・ギリアムがこれまでの技法を封印して挑んだ心温まるヒューマンドラマ

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ギリアムの心境とも重なる、練り抜かれたストーリーライン



 タイトルの”フィッシャー・キング(漁夫王)”とは、ヨーロッパに広く伝わる「聖杯伝説」の登場人物の一人。癒えぬ傷を負ったこの王が、騎士の力を借りて見つけ出した聖杯の力によって痛みを癒す。そのストーリーラインは、心を病んだホームレスと、彼の代わりに聖杯を探し出そうとするラジオDJという二人のたどる運命にもピタリと重なる。なおかつ、面白いことに当時のギリアムの心境とも合致するところがある。


 言うまでもなく、ギリアムは、映画作りによってたびたび大きな事態を引き起こしてきた。彼なりに必死に戦った結果とはいえ、「どうしてこんなことになってしまったのか」という思いは常々抱えていたはず。また、彼自身も傷を負っていたに違いなく、それを癒したいという思いは少なからずあったことだろう。


『フィッシャー・キング』(c)Photofest / Getty Images


 とするなら、過去を背負い続けるDJと、傷を負ったホームレス、いずれの登場人物もギリアムにとって分身のような存在であったことは想像に難くない。


 自分の中に内在する二つの視点、および作り手としてのテリー・ギリアム本人の視点から、”現代におけるファンタジーの力”をもう一度、真摯に見つめようとする。その実践こそ本作『フィッシャー・キング』なのだ。




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