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『ザ・タウン』大傑作『ヒート』から受け継がれたクライム・アクションの精神

『ザ・タウン』大傑作『ヒート』から受け継がれたクライム・アクションの精神

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R・ミッチャム主演の名作から受け継がれた犯行場面



 さらに歴史を遡ると、ベン・アフレックが大きな影響を受けたと語るボストン映画がもう一つ、目に留まる。ロバート・ミッチャム主演の『エディ・コイルの友人たち』(73)だ。ボストン周辺のロケーションを駆使しながらリアルなクライム・ドラマを描いた先達とも言える本作。その筆致は、アフレックに「『ザ・タウン』がたどるべき方向性を指し示してくれた作品」と言わしめるほど際立っている。


 改めて両作を見比べると、もちろんストーリーは全く異なるものの、ともに犯罪と隣り合わせに暮らす者たちの日常をあぶり出している点が興味深い。さらに銀行強盗シーンに至っては、そのかなりの共通性に誰もが驚くはず。4人組が独特のクレイジーな覆面をかぶって襲撃する点、支店長に時限錠付きの金庫を開けさせる点、そしてこの金庫そのものの形状も全く同じ。さらには支店長が目隠しされたまま解放されるシーンでは、海岸に向かってこのまま真っ直ぐ進むように指示されるなど、デジャブ感たっぷりのシーンが次々と現れるのだ。




 果たして都市が映画を生み出すのか、それとも映画が都市の名を知らしめるのか。『ザ・タウン』も含めて上述した作品群からは、ボストン四部作と命名したくなるほどの“街の息遣い”が聞こえてくる。特徴あるこの町にはごまかしがいっさい効かない。トロントやバンクーバーで代用して撮影することもままならない。それこそ頭の中に地図を思い描き、それぞれの地域の歴史や文化を理解しながら鑑賞することで、いかにこの都市が特筆すべき個性を持った登場人物になりえているかよく味わえるはずだ。



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