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『さよならゲーム』スタッフ・キャストからレジェンドまで、野球を愛でた人々の野球愛に溢れた映画

(c)Photofest / Getty Images

『さよならゲーム』スタッフ・キャストからレジェンドまで、野球を愛でた人々の野球愛に溢れた映画

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“野球界の道化王子”マックス・パトキン



 野球場に流れているのは、ビル・ヘイリーの歌う「ロック・アラウンド・ザ・クロック」。カメラはホームベース上でリズムに合わせて軽快に踊る男の姿をとらえ、スタンドの観客もまたリズムに体を委ねながら、男のおどけた姿を見て笑みを浮かべている。ベンチから彼のパフォーマンスを見ているコーチのラリー(ロバート・ウール)は「マックスは最高だな」と監督に語りかけ、場内アナウンスでは「球界一の道化師マックス・パトキンに拍手を」と紹介。その男“マックス”は、観客から拍手喝采を浴びるのだった。


 『さよならゲーム』(88)の冒頭に登場するマックス・パトキンは、“The Clown prince of Baseball”=“野球界の道化王子”と呼ばれた伝説の人物。彼は試合の前座でパフォーマンスを披露するため、呼ばれれば、マイナーリーグのどの球団、どの球場へも駆けつけた。重要なのは、メジャーリーグではなく、マイナーリーグであった点。野球場の規模だけでなく、マックスの姿を見せることで、この映画の舞台がマイナーリーグであることを悟らせているからだ。


『さよならゲーム』予告


 原題の『BULL DURHAM』は、直訳すると「ダーラムの牡牛」という意味になるが、ノースカロライナ州ダーラムにあるマイナーリーグ<ダーラム・ブルズ>の名称を逆さにした言葉にもなっている。勿論、牡牛とは野球選手たちのこと。『さよならゲーム』は、キャッチャーのクラッシュ(ケヴィン・コスナー)が、生意気な新人投手エビー(ティム・ロビンス)の教育係として<ダーラム・ブルズ>に呼ばれ、当初はいがみ合いながらも試合で好成績を残してゆくという物語。


 クラッシュは、21日間だけメジャーリーグに在籍したことのあるベテラン捕手という設定。12年のキャリアがありながらも低迷している彼の姿は、マイナーリーグという場であるからこそ、人生に対する先行きの不安を導いている。『さよならゲーム』が魅力的なのは、野球を題材にしながらも、人生の機微を描いた人間ドラマとして構成されているからでもある。それゆえ、試合場面が何度も描かれているにも関わらず、野球のルールはそれほど重要ではないことをうかがわせる。それは、劇中で描かれている試合の勝敗よりも、むしろ選手や野球観戦する観客たちの、野球に対する姿勢の方に重きが置かれているからだ。そこに見え隠れするのは、人生をメタファーにした、野球への“愛”だ。




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