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『テルマ&ルイーズ』スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、リドリー・スコットが描く“伝説”の誕生 ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『テルマ&ルイーズ』スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、リドリー・スコットが描く“伝説”の誕生 ※注!ネタバレ含みます。

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


『テルマ&ルイーズ』あらすじ

主婦のテルマが、親友でウェイトレスのルイーズと共に退屈な毎日から逃げようとドライブへ繰り出す。夕食の為に寄ったドライブインで、テルマが男たちに強姦されかけていたのを目撃したルイーズは、誤って男たちを射殺してしまう。本来であれば楽しい思い出になるはずのドライブが、この瞬間に逃避行へと変わってしまう。


Index


リドリー・スコット監督の女性像



 リドリー・スコット監督の映画を振り返ってみると、強い女性像にひかれていることが分かる。その代表的な作品は『エイリアン』(79)だろう。宇宙船ノストロモの宇宙への旅が描かれ、最後まで生き残るのはシガニー・ウィーバー扮するリプリーだ。


 このキャラクターに関して、80年代にウィーバー本人に質問をしたことがある。どうして彼女が最後まで生き残る人物像になったのか興味があったからだ。すると、こんな答えが戻ってきた。


 「フェミニズム的な視点で彼女が最後まで生き残る設定になったわけではなかったようなの。ただ、女性が最後まで生き残る、という設定にすると意外な展開なので商業的に成功する、と製作者たちは考えたようね」


 70年代にはジェーン・フォンダのように“自立する女”の時代を象徴する女優たちが台頭することで、『ジュリア』(77)や『結婚しない女』(78)のように新しいタイプの女性映画も作られていたが、それでも女性像の幅は狭かった。そんな中、宇宙船に乗った宇宙飛行士でありながら、最後まで敵(エイリアン)と闘いぬく、というタフなキャラクターを演じたシガニー・ウィーバーの存在は新しかった。


 その後、ジェームズ・キャメロン、デイヴィッド・フィンチャーなど実力のある監督たちがシリーズを引き継ぐことで、リプリーというキャラクターは伝説的なものとなり、映画史上の“戦う女性像”のひとつの原点となった。


 スコット自身は70年代のインタビューで、こんな発言も残している――「私の映画には強い女性が登場するが、それは私が強い女性にひかれるせいだ。個人的な趣味からきている」(“Omni’s Screen Flights/Screen Fantasies:The Future According to Science Fiction”ダニー・ピアリー編)


『テルマ&ルイーズ』予告


 アメリカではなく、イギリスのコマーシャル畑出身の新鋭監督が登場することで、従来のハリウッド映画のヒロインとは異なるタフな女性像を作り上げた。


 そして、その発展形となったのが『テルマ&ルイーズ』(91)だろう。今回はふたりのタフなヒロインが登場することでさらに強さが際立つ。ハリウッド映画には男性ふたりが組んだ“バディもの”の伝統があるが、そこにテルマとルイーズも加わることで新境地を切り開いた。




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