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『テルマ&ルイーズ』スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、リドリー・スコットが描く“伝説”の誕生 ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『テルマ&ルイーズ』スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、リドリー・スコットが描く“伝説”の誕生 ※注!ネタバレ含みます。

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女ふたりの逃避行の旅



 登場するのは小さな町に住むふたりの女性である。ある週末にふたりはささやかな旅行を計画している。専業主婦のテルマは口うるさい夫に旅行の話ができないでいる。これまで夫のいいつけに従い、従順な妻として生きてきたが、夫の方はどうも浮気をしているようだ。


 一方、ルイーズはウエイトレスとして働いていて、テルマの姉貴的な人物だ。つき合っている恋人がいるが、結婚に踏み切れないでいる。


 そんなふたりが旅に出るが、たまたま入った店で、タチの悪い男に絡まれ、テルマはレイプされそうになる。そんな男にルイーズは思わず銃を向け射殺してしまう。警察に行くことも考えるが、ふたりを信用してくれる人物などいるはずもない、と思い直し、結局は逃避行に出る。


 途中で知り合った若い男、J.D.はテルマに近づき、彼女に甘い言葉を囁き、女としての喜びも与えるが、実はとんでもない人物だったことが後になって分かる。ちょっとそそっかしいところがテルマの欠点だ。


『テルマ&ルイーズ』(c)Photofest / Getty Images


 一方、ルイーズはもっと冷静な性格で、途中で旅行資金がつきて、恋人に助けを求める。再会した彼は彼女の異変を感じ取り、心からの愛を告白する。しかし、ルイーズは殺人犯となった今、彼と距離をとるしかない。


 そんなふたりを追いかける刑事は、女たちに同情的な態度を見せ、事件の背景を調べようとする。


 周囲の人々の思惑も描かれながら、テルマとルイーズの逃避行が続く。冒頭では女ふたりの気楽な休暇の物語に思えるが、やがて、クライム映画へと発展していく。そんなところにスコットらしさもうかがえる。80年代の『誰かに見られている』(87)や『ブラック・レイン』(89)、00年代の『ハンニバル』(01)や『マッチスティック・メン』(03)、10年代の『悪の法則』や『ゲティ家の身代金』(17)等、スコットはクライム系サスペンス映画も数多く手がけてきたが、『テルマ&ルイーズ』にもそんな犯罪映画の要素が入り込んでいる。


 そこにアメリカン・ニューシネマ的なロードムービーの要素も加えることで、ありそうでなかった女性作品を作り上げたところに、この映画の新鮮さがあった。




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