監督を感動させた日本での反響
ちなみに『ハリーとトント』は日本公開時にも大きな反響を巻き起こしたと聞く。ポール・マザースキー監督はDVDの音声解説の中で「日本の観客はこの映画をとても愛してくれた。クライマックスでは号泣し、映画の音声が聞こえなくなったほど。日本に住みたいよ」と語っている。
まあ、この言葉にはいくらか誇張があるとしても、当のマザースキー監督が率直に「アメリカと日本とでは本作の受け止め方がだいぶ違うな」と感じたのは間違いなさそうだ。
この映画の日本公開から50年近くの年月が経つ。当時の劇場や観客の様子などを想像しながら、いま改めて本作に触れてみるのも一つの楽しみ方ではないだろうか。
参考・引用:『ハリーとトント』DVD(ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社)音声解説、特典映像より
1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。
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