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『アーミー・オブ・ザ・デッド』配信オリジナルのゾンビ大作は、このジャンルに何をもたらすのか?

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『アーミー・オブ・ザ・デッド』配信オリジナルのゾンビ大作は、このジャンルに何をもたらすのか?

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『エイリアン2』の轍を踏む姿勢から見えるもの



 また『アーミー・オブ・ザ・デッド』にゾンビものとしての発展性を指摘するのであれば、あくまで私感ではあるが、本作とジェームズ・キャメロンが手がけた『エイリアン2』(86)との類似が興味深い。


 前者の、ゾンビの密集地帯にスコットら私設軍団が潜入する展開は、後者における海兵隊がエイリアンの巣窟にあえて踏み込んでいくそれを彷彿とさせるし、ゾンビが天井を突き破り、地表へと降り立つショットなど視覚面で『エイリアン2』の韻を踏んでいるところも散見される。なによりゾンビがトップダウン型の組織を形成している設定は、クイーンを筆頭とするエイリアンウォリアーたちのコロニーと同工異曲だし、ゾンビをめぐる軍の目的や、またスコットと娘ケイト(エラ・パーネル)との確執も、同作のリプリーと植民地惑星唯一の生存者であるニュートとの疑似母娘関係を反復するなど、イメージの断片に『エイリアン2』の存在がちらつく。



『アーミー・オブ・ザ・デッド』 (c)NETFLIX


 なによりフランチャイズを展開するに至り、キャラクターが持つ神秘性や恐怖感が薄れていく点で、ゾンビとエイリアンは似た者どうしであり、かつ同じ轍を踏んでいる。今日に始まった傾向ではないが、かつて目にしたジャンルのシフトチェンジが、劇場から配信へと舞台を変えて繰り返されていることに複雑な印象を覚えるのだ。一般ユーザーに配慮や忖度しない、配信メディアならではの残酷描写への踏み込みなど、映画が取り戻していく要素もそこにはある。それを認めたうえで『アーミー・オブ・ザ・デッド』がもたらす感情は一筋縄ではいかない。



文:尾崎一男(おざき・かずお)

映画評論家&ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」「熱風」、Webメディアに「映画.com」「ザ・シネマ」などがある。加えて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントにも出没。

Twitter: @dolly_ozaki



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