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『モータルコンバット』IMAX®で強化される〈リアル〉と〈荒唐無稽〉の幸福な融合

© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

『モータルコンバット』IMAX®で強化される〈リアル〉と〈荒唐無稽〉の幸福な融合

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独自の世界観を支える「本物志向」



 さて、「モータルコンバット」が実写映画化されるのは今回が初めてではない。95年にも邦題『モータル・コンバット』として映画化され、ゲームの第1作・第2作に基づく物語が描かれたのだ。同作の監督を務めたのは、その後、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演『バイオハザード』シリーズや映画 『モンスターハンター』(20)でもゲームの実写化を手がけたポール・W・S・アンダーソン。CG技術も発展途上の頃に製作されたが、世界中の観客に注目され、現在に至るまでカルト的な人気を博している(97年には続編も製作された)。


 95年の『モータル・コンバット』と21年の『モータルコンバット』には、リュウ・カンやソニア・ブレード、ライデン、シャン・ツン、カノウ、スコーピオン、サブ・ゼロなどのキャラクターをはじめ、共通点も少なくない(95年版はリュウ・カンが主人公だった)。しかし、両作にはいくつかの決定的な違いがあることも事実だ。


 ひとつめは、ゲームの名物である“フェイタリティ”が95年版では再現されなかったことだ。流血や人体破壊などの残酷表現をほぼ回避し、いわば正統派のアクション映画として仕上げられたため、ゲームのファンからは賛否が大きく分かれた。かたや、21年版では残酷描写こそが作品の大きな見どころとなっている。ヒーロー映画やコミック映画が多様化し、R指定の大ヒット作が近年増えてきたがゆえの変化だろう。

 

『モータルコンバット』© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved


 そして、もうひとつの違いが作品のリアリティだ。95年版は荒削りな世界観や展開の突っ込みどころも魅力のひとつだが、21年版はキャラクターとアクションを最大限に活かすべく、リアルな表現が細部まで徹底された。ハサシ・ハンゾウとサブ・ゼロ/ビ・ハンが対決する1600年代の日本の造形には、製作陣のリサーチに加え、真田の意見も取り入れられている。日本人が観ても違和感がない美術と衣裳が、全編を貫く二人の因縁を強力に演出するのだ。そのほか、コールが戦うリングやロッカールーム、郊外の一軒家、倉庫、そして魔界など、さまざまな舞台が実在感たっぷりに映し出され、現実世界と地続きの「モータルコンバット」の世界観を雄弁に物語る。


 リアリティにこだわるため、マッコイド監督はなるべくCGに頼らず、オーストラリアのスタジオやロケーションで可能なかぎりの実写撮影を敢行。ルイスやジョー、真田をはじめとする武闘派俳優陣とスタント班の尽力により、バトルシーンもあくまで本物志向が追求された(ハンゾウの殺陣の振付には真田自身も参加している)。“フェイタリティ”の撮影では大量の血糊がセットにまき散らされたため、あまりにも凄惨な光景に気分が悪くなった者さえいたとか……。





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