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『シャザム!』ジュブナイルな冒険映画の引用と、DC映画の“明るい”未来!

(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

『シャザム!』ジュブナイルな冒険映画の引用と、DC映画の“明るい”未来!

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『シャザム!』あらすじ

身寄りのない思春期ど真ん中の子供、ビリー。 ある日突然、彼は魔術師からスーパーパワーをゲット! 「シャザム!」それは、最強でサイコーな魔法の言葉! これを唱えれば、筋肉ムッキムキ!稲妻バッキバッキ!のスーパーヒーローに変身できるのだ! ヒーローオタクのフレディといっしょに、悪ノリ全開!止まらない! そんなスーパーパワー絶賛ムダづかい中のビリーの前に、科学者 Dr.シヴァナが現れる。手に入れたスーパーパワーのために、フレディがさらわれてしまう... ビリーはついにヒーローとして目覚める!見た目はオトナ!中身はコドモ! アメコミ史上最年少の“ダサかわ”ヒーローが世界を救う?! 史上最も笑えるヒーロー映画誕生!


Index


DC映画の新地平を切り拓く、モニュメンタルな作品



 愉快なコメディと、迫力のアクション、そして家族の絆。アメコミ映画の新星『シャザム!』(19)は、シリーズに新風を吹き込むべく、DC映画の過去の作風をあえて逸脱し、大きく舵を切った。クリスチャン・ベール主演の“ダークナイト3部作”以降、DC映画はダークなテイストを一貫して描出し、そのスタイルは画然たる流儀を確立している。


 スーパーマンのリブートとなる『マン・オブ・スティール』(13)と、同作を起点に続く“DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)”では、先述のダークナイト路線を俊英ザック・スナイダーが享受し、フィルム・ノワール的な犯罪アクションとして、ダークなヴィジュアル面を昇華させてきた。もとより、DCコミックスの社名の由来となる“ディテクティブ・コミックス”がミステリ系の探偵コミックス誌であることを踏まえると、その実写映画がダーク路線に落ち着くことは自然なことだったのだろう。



『シャザム!』(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


 さて、こうした一連のDC映画は『ジャスティス・リーグ』(17)以降、大きく変貌する。DC映画の特色だった良い意味での“暗さ”は徐々に薄れ、『アクアマン』(18)では迫力の海洋アクションを前面に押し出した。本作『シャザム!』では、痛快なコメディを映し出し、悪ノリ全開のギャグとアクションで畳みかけてくる。さらに本作では、家族の絆という普遍的な要素を取り入れ、観客の共感を得ることに成功しているのだ。まったく新しいヴィヴィッドな作品として、本作はシリーズの大地に新機軸を打ち立てている。


『シャザム!』予告


 DC映画に新しい息吹をもたらした『シャザム!』だが、これまでの持ち味となるダーク路線を完全に払拭したワケではない。ライバルのマーベル映画では基本、昼間が主戦場となるが、対するDC映画では夜間の戦いがよく描写される。思い返せば『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16)や『ワンダーウーマン』(17)のシメとなる最終戦は、すべて夜明け前の薄暗いロケーションが設定されている。それは本作も例外ではない。そういう意味で本作は、伝統的なダーク路線と、コミカルなセンスを萌芽させたクレバーな快作として評価されるべきだろう。



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