© 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.© 2009 Dark Castle Holdings, LLC. All rights reserved.
『エスター』を特別な作品たらしめる、子供ホラーから飛躍する虚構 ※注!ネタバレ含みます。
跳ねる虚構
『エスター』は中盤まで「ゴス」の悲しみを描いていくのだが、終盤で虚構性が跳躍する。それまでの丁寧な描写を土台にしながら驚天動地の凄まじいケレンがジェットコースター的なスピードで展開していく。
実はエスターは、発育不全になるホルモン分泌異常の病気で、実際には33歳であることが明かされる。それまでのどこか謎めいた行動も、このオチからさかのぼって思い返すと、エスターの欲望を軸に一直線に進んでいた事が判明するヒザポン感も含め、思いもよらない着地点だと言えるだろう。
『エスター』© 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.© 2009 Dark Castle Holdings, LLC. All rights reserved.
とはいえ。ナンボなんでも9歳に見える33歳という設定はかなり突飛に過ぎる印象がある。事情を知る人々を殺してきたとはいえ、そう何人も殺せるハズも無く。その上、過去の履歴を書き換えるようなスパイじみた活動だって出来たハズも無い。しかし、これこそ「創作物」だけが表現可能な描写である。論理学上、映画のフレームの「外」や、小説で書き記されていない事柄「行間」は「無」であり、つまりは「無限」である。
映画の虚構の世界の中であれば、9歳に見える33歳は可能なのだ。この発想の飛躍こそ、凡百の「子供ホラー」の中から『エスター』を特別な作品たらしめている。
文:侍功夫
本業デザイナー、兼業映画ライター。日本でのインド映画高揚に尽力中。
『エスター』デジタル配信中
ブルーレイ 2,619円(税込)/DVD 1,572円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
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