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『ファイヤーフォックス』イーストウッド&アカデミー賞受賞スタッフ集結の冷戦スペクタクル大作

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『ファイヤーフォックス』イーストウッド&アカデミー賞受賞スタッフ集結の冷戦スペクタクル大作

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『ファイヤーフォックス』あらすじ

空軍のエリート・パイロットでありながら、戦争で心に傷を負い引退同然の生活を送るガントに、極秘指令が下った。「ソ連の最新鋭戦闘機〈ファイヤーフォックス〉を盗み出せ」。レーダーに影すら残さず、パイロットの思考波だけで操ることができる。KGBの厳戒体制をくぐり抜け、はたしてうまく軍内に潜り込めるのか!?目指すファイヤーフォックスに乗り込んで無事に帰還できるのか…。


Index


イーストウッドが描く冷戦映画



 俳優として、監督として、今もなお現役であり続ける名匠クリント・イーストウッド。もはや説明不要の傑物であるが、最初は彼も無名だった。ユニバーサルに1年半ほど在籍するも、『半魚人の逆襲』(55)や『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』(55)と、低予算映画での端役ばかりが続いた。しかし、1959年から1965年まで放送された西部劇ドラマ「ローハイド」で初主演を射止め、これがイーストウッドの俳優としての転換点となった。


 その後、イタリアでは『荒野の用心棒』(64)をはじめ3本の西部劇に主演し、西部劇衰退の時代にマカロニ・ウェスタンのスターとなった。イーストウッド扮する“名無しの男”は、今も映画ファンの間で愛され続けているキャラクターであり、イーストウッドの代名詞とも言える言葉だ。


 彼の活躍は俳優だけにとどまらない。彼は自分の会社を立ち上げ、『ファイヤーフォックス』(82)までに7本の映画でメガホンを執っている。『恐怖のメロディ』(71)にはじまり、『荒野のストレンジャー』(73)『アウトロー』(76)と成功を重ね、8本目の監督作品に選んだのが『ファイヤーフォックス』だった。クレイグ・トーマスによる同名小説(小説の邦題は「ファイアフォックス」)の映画化で、ソ連の新鋭戦闘機を盗み出す、という大胆な作戦の物語だ。本作では、監督と主演のみならず、初めて製作にも名を連ね、話の運びは少々荒っぽいが、スピーディーかつサスペンスフルに描き切っている。


『ファイヤーフォックス』予告


 スタッフにも一流がそろった。『スター・ウォーズ』(77)でアカデミー賞に輝いたジョン・ダイクストラ率いる特殊効果チームが、映画後半の山場である空中戦を担当し、迫力のシーンを描いてくれている。息もつかせぬアクションで、まさに戦闘機が主役、という気がしてくるシーンだ。そして、撮影監督にはブルース・サーティス。イーストウッドとは長い付き合いのカメラマンで、『レニー・ブルース』(74)ではアカデミー賞にノミネートされている。何より特筆すべきは、音楽のモーリス・ジャールである。彼も一流で、『アラビアのロレンス』(62)や『ドクトル・ジバゴ』(65)をはじめ、アカデミー賞に絡む多くの名画で作曲を担当している。ここまで最高の俳優と、最高のスタッフに恵まれている作品は、そうそう多くはないはずだ。




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