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『センチメンタル・アドベンチャー』巨匠イーストウッドの早すぎた秀作 ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『センチメンタル・アドベンチャー』巨匠イーストウッドの早すぎた秀作 ※注!ネタバレ含みます。

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ドラマに光を灯らせた、愛息との共演



 2つめの注目のポイントは、好奇心旺盛で行動的な少年ホイット役に、イーストウッドの14歳の息子カイルがふんし、俳優デビューを飾っていること。イーストウッドはマルパソの製作作品に、子どもたちをしばし俳優として起用しており、『アウトロー』(76)『ブロンコ・ビリー』でカイルを子役として、ノンクレジットで出演させている。本作はクレジット付きの公式なデビュー作であり、しかも極めて重要な役であった。


 当時イーストウッドは妻マーガレットと離婚訴訟中だったが、それで子どもたちに寂しい思いをさせるわけにはいかない。多忙な日々の中、彼女との間に生まれたカイルやその妹アリソンと、できるだけ一緒に過ごしたいと考えていた。「イーストウッド家の人々は、とてもいい関係を築いている」と、当時のイーストウッドのパートナーであったソンドラ・ロックは語っている。その延長線上に、カイルとともに映画を作るという発想があったのかもしれない。



『センチメンタル・アドベンチャー』(c)Photofest / Getty Images


 親バカともとられかねないが、カイルの起用はまぎれもなく正解だった。イーストウッドふんするレッドは俺流のぶっきらぼうな男だが、死の影を引きずっている分弱々しく、どちらかというとダークな存在だ。対するホイットは、彼との冒険に興味津々で、生命力にあふれている。カイルの自然な演技は、それを十二分に表現していた。


 役者として、これ以上大きな役で映画に出ることはなかったカイルだが、後に父が愛した別の分野=音楽の世界で名をなすことになる。ジャズのベース奏者としてその才能を開花させ、これまでに5枚のソロアルバムを発表。父の映画では『硫黄島からの手紙』など4作に音楽を提供している。





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