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『すてきな片想い』ジョン・ヒューズの才能が萌芽する監督デビュー作

(c)Photofest / Getty Images

『すてきな片想い』ジョン・ヒューズの才能が萌芽する監督デビュー作

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期待されなかった日本での興行



 アメリカのポピュラー音楽には、ニール・セダカの「すてきな16才」をはじめ、<16歳>をモチーフにするという伝統があり、それらの楽曲が映画の中でしばしば使用されてきたという経緯がある。例えば、『アメリカン・グラフィティ』(73)の劇中で使用された、ジョニー・バーネットの「夢見る16才」。『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』(89)の終盤では、ジェフ・ブリッジスとボー・ブリッジスの実兄弟がこの曲を弾き流す場面がある。また、『サウンド・オブ・ミュージック』(65)の劇中歌である「もうすぐ17才」の原題は「Sixteen going on Seventeen」。ここでは、少女と大人の端境期における揺れる想いが歌詞に込められている。


 そして、ジョン・ヒューズ監督の『すてきな片想い』(84)には、ザ・クレスツの1958年のヒット曲「16 Candles」を、ストレイ・キャッツがカバーしたバージョンがエンドロールで流れる。『すてきな片想い』の原題は、まさに「Sixteen Candles」なのである。


『すてきな片想い』予告


 1984年に公開された『すてきな片想い』は、姉の結婚式を明日に控えた混乱から、家族に16歳の誕生日を忘れられてしまう女子高生の2日間を描いた作品。奇しくも当時の日本では、16歳の高校生を主人公にした『アイコ十六歳』(83)が、富田靖子主演で映画化された時代。1980年代にティーンエイジャーだった筆者の世代にとって、『すてきな片想い』は「アメリカでは、10代の若者にとって16歳の誕生日は特別なもの」だと認識させたハリウッド映画の代表格でもある。


 日本では1985年になって劇場公開されているが、CIC・ユニバーサルの配給により『デューン/砂の惑星』(84)との地方併映という扱いだった。そのため、東京や大阪などの大都市では二番館や三番館において、デミ・ムーアとジョン・クライヤーが共演した『恋人ゲーム』(84)や、ヴァージニア・マドセン主演の『禁じられた恋』(86)などとの2本立てで、少々遅れた時期に上映されたという経緯がある。つまり、大作として公開された『デューン/砂の惑星』の添え物扱いだったという事実は、日本での興行が期待されていなかったことを物語るのである。


 一方、現地の北米では約2,300万ドルの興行収入を記録。製作費が650万ドルであったことを考えると、興行的な成功を収めた作品だったといえる。『すてきな片想い』の成功は、この映画が初監督作品だったジョン・ヒューズと、これが初主演映画だったモリー・リングウォルドのふたりに、次回作への切符を手渡すことになる。




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