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『タップス』10代で無名のトム・クルーズが光った青春映画

(c)Photofest / Getty Images

『タップス』10代で無名のトム・クルーズが光った青春映画

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新人同然のトム、ハリウッドへの足かがりを築く



 監督のハロルド・ベッカーは50代にして映画監督として脚光を浴び出した遅咲きのクリエイター。本作で注目された後、もうひとつの80年代を象徴する青春ドラマ『ビジョン・クエスト/青春の賭け』(85)を放つ。以後、『シー・オブ・ラブ』(89)『冷たい月を抱く女』(93)『訣別の街』(96)『マーキュリー・ライジング』(98)といったサスペンスのヒット作を次々と放った。


 『タップス』をリアルな物語にするために、ベッカー監督が最初にしたのは、生徒役の若い役者たちに十分な準備期間をあたえることだった。軍について知識のなかった彼らはペンシルバニアの陸軍士官学校で行なわれる45日間の基礎訓練キャンプに送り込まれる。午前中は演技の練習、そして午後は軍事訓練。このプロセスによって、役者たちは軍人を目指す少年たちに同化し、同時に強い仲間意識を育んでいった。



『タップス』(c)Photofest / Getty Images


 ハットンとペン、そしてクルーズはこのときの共演により、親しい友人として絆を育む。とりわけ、キャリアの浅いクルーズにとって、先輩たちとの共演はキャリアの上でも大きな助けになった。ハリウッドで拠点を築こうとしたクルーズを、ペンはサポートして宿泊先を提供。エミリオ・エステベスやロブ・ロウら、後に『アウトサイダー』(83)で共演し、“ブラットパック”と呼ばれる同世代の俳優たちをクルーズに紹介したのもペンだ。


 余談だが、『タップス』に続く出演作を求めていたクルーズに、ペンは脚本の重要性を説いていた。しかし、功を焦って主演を務められる作品に飛びついたクルーズは、性の初体験を題材にしたB級青春コメディに出演し、それが興行的にも質的にも失敗作に終わったことで、キャリア的に少々遠回りを強いられることになる。『トップガン』の大成功の4年前のことである。




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