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『ミニミニ大作戦』若きマイケル・ケインの魅力が炸裂!60年代の終わりを颯爽と駆け抜けた痛快カーアクション

(c)Photofest / Getty Images

『ミニミニ大作戦』若きマイケル・ケインの魅力が炸裂!60年代の終わりを颯爽と駆け抜けた痛快カーアクション

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ケインの魅力とミニクーパーの存在感



 クライムコメディ『ミニミニ大作戦』(69)はそんなマイケル・ケインが60年代に刻んだもう一つの代表作であり、年代的に見るとスウィンギング60’sの締めくくりの時期の作品だ。


 主演のケインは『アルフィー』とは全く異なる役柄を求めて本作への出演を決めたという。そのキャラは実に軽妙だ。相変わらずのコックニーなまりで、階級意識や学歴は一切なし。けれど、とにかく男性にも女性にも好かれるチャーミングな魅力を併せ持ち、なおかつ多くのメンバーを束ねる統率力、どんな困難な状況でもとっさの判断ができるクレバーさで、世にも大胆な金塊強奪計画を実行へと導いていく。


『ミニミニ大作戦』予告


 ただし、注目すべきはケインだけではない。この映画では計画実行の舞台としてイギリスを飛び出し、イタリアのトリノへとなだれ込む。そこからラスト30分間、ずーっとひたすら続くカーチェイスこそ、最大の見せ場。交通渋滞で車両のひしめき合うトリノの街並みを、ミニクーパーが縦横無尽にスイスイと駆け抜けていくのである。


 ミニといえばイギリスのBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が開発、製造したもので、その発端は50年代のオイルショックにあるという。当時、切に求められたのは燃料の消費を極力抑え、なおかつ家族四人が乗れる経済的でコンパクトな乗用車だった。デザインや乗り心地を伴うものであればなおのことよし。ミニはその要素を全て兼ね備えたものとして、いつしか60年代の象徴となっていく。本作のプロデューサーによると「当時、若者たちはみんなこの車を欲しがった」という。


 実は本作、イタリアのフィアット社が全面協力しており、劇中に登場する何種類にもわたる車の多くを無料で提供してもらったとか。となると、主役級の車に関してもふさわしい車を手配してもらう手はあったはず。しかしプロデューサー陣はあえてミニクーパーにこだわり(BMCは無償提供などしてくれなかった)、この車をイギリスからわざわざトリノへ持ち込んだそうだ。それも赤、青、白の3色。すなわちユニオンジャックを構成するカラーである。そこにはイギリスの文化的な逆襲とでもいうような意味合いが込められていたのかもしれない。




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