『ミニミニ大作戦』あらすじ
イギリスの大泥棒たちが、イタリアのトリノに乗り込んで、運び込まれる金塊を強奪しようと計画する。イタリア警察のアルファロメオと奪った金塊を積んだミニ3台がトリノの街を駆け抜ける。
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60年代の顔、マイケル・ケイン
どの年代にも「時代の顔」としてふさわしい人が存在するものだ。1960年代イギリスの”スウィンギング60’s”と呼ばれた煌びやかな文化の興隆期を例に取るなら、ザ・ビートルズ、ツィギー、マリー・クワントなどと共に、映画俳優マイケル・ケインも重要な位置付けの一人と言えるだろう。
戦後のベビーブーム世代が文化の担い手となり、ロンドンを中心にファッション、音楽、映画などの多種多様なカルチャーが勢いよく花開いたこの豊穣な時代。若者たちは親たちの古い価値観や階級意識を打ち破り、思うがままに夢を膨らませ、感性と才能を爆発させた。
マイケル・ケインもまた、労働者階級の出身ながら、持ち前のコックニーなまりと、清潔感のある華やかな容姿、そして持ち前の変幻自在の演技力とオーラによって業界をのし上がってきた。
とりわけ、彼の特異な存在感を印象付けたのが『国際諜報局』(65)だろう。その”ハリー・パーマー”という伝説的キャラが体現するのは、当時のアイコンでもあるジェームズ・ボンドと表裏をなすものだ。トレードマークの黒縁メガネ姿で、上司の説教に対していつも皮肉や愚痴で返し、エリート意識なんてこれっぽっちも持ち合わせていない。しかしそれでいて、なぜか生まれ持った勘の良さみたいなもので、どんなピンチもかろうじてくぐり抜けていく。その人間臭さが抜群に当たって、ケインは一気に映画界で注目される存在となった。
『国際諜報局』予告
もう一つ、ケインがこの時代に残したヒット作に、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた『アルフィー』(66)がある。この映画の彼は、60年代特有の”性の解放”を体現するかのように感情のまま情事を重ねるプレイボーイを演じているが、しかし快楽的な生き方を貫く中で、女性たちは一人、また一人と彼の元を去り、最終的に彼はたった一人置き去りにされるかのような寂寥感へと追いやられていく。
それはどこか、自分たちの輝かしい時代も決して永遠に続くものではないことを暗示しているようでもあり、こういった作品を60年代半ばに主演作として選び取るところに、ケインという人間の奥深さが見て取れる。