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『TENET テネット』回文タイトルが暗喩するノーランの創造的ターン ※注!ネタバレ含みます。

(c) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

『TENET テネット』回文タイトルが暗喩するノーランの創造的ターン ※注!ネタバレ含みます。

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※本記事は物語の核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


『TENET テネット』あらすじ

満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発。罪もない人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が館内に突入する。部隊に参加していた名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、仲間を救うため身代わりとなって捕えられ、毒薬を飲まされてしまう...しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた名もなき男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。ミッションのキーワードは<TENET>。「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。謎のキーワード、TENETを使い、第三次世界大戦を防ぐのだ。突然、巨大な任務に巻き込まれた名もなき男。彼は任務を遂行する事が出来るのか?


そして、彼の名前が明らかになる時、大いなる謎が解き明かされる――。


Index


スパイジャンルの牙城に迫るノーラン版『007』



 クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』は、彼が愛する『007』シリーズ(62〜)からの影響とオマージュを即連させるスパイアクションだ。


 ジョン・デヴィッド・ワシントン(『ブラック・クランズマン』『さらば愛しきアウトロー』(18))演じる主人公のCIAエージェントが、巨大な敵の野望を阻止するミッションを与えられ、その素性や狙いを明らかにするため、世界をまたにかけたアクションが全編にわたり繰り広げられていく。



『TENET テネット』(c) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved


 かつてスティーブン・スピルバーグが、自らも『007』を手がけたいと、版元のイオン・プロダクションに掛け合ったように、ノーランもまた同プロダクションにアクセスし、シリーズに関わろうとした過去がある。


 どちらもそれを果たすことはできなかったが、代わりにスピルバーグは、ジェームズ・ボンドの向こうを張った“インディ・ジョーンズ”という映画史上屈指の冒険キャラクターを生み、ノーランはこの『TENET テネット』という、映画史上類を見ない異色作をモノにしたのだ。



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