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『TENET テネット』回文タイトルが暗喩するノーランの創造的ターン ※注!ネタバレ含みます。

(c) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

『TENET テネット』回文タイトルが暗喩するノーランの創造的ターン ※注!ネタバレ含みます。

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フルフレームIMAXがもたらす視覚的興奮



 このような『TENET テネット』をベストに楽しむならば、やはりIMAXのビッグスクリーンでの鑑賞を想定したものだけに、最寄りのIMAXデジタルシアターに向かうことを推奨する。


 周知のとおり、ノーランは史上最大規模の映像フォーマットであるフィルムIMAXでの撮影、ならびに上映を商業長編劇映画のフィールドへと持ち込み、イベント性の高い視覚体験を展開させている。加えて画角比1:1.43という、由緒ただしい巨大正方形面を保持している。その視界を弄するようなスクリーンでの上映体験は、途方もないアイディアを自作にフレーミングさせる、ノーランの志向を最大限に活かすのだ。



『TENET テネット』(c) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved


 それが味わえるのは、日本で二ヶ所あるフルIMAX画角のオーディトリアム(東京池袋:グランドシネマサンシャイン / 大阪:109シネマズ大阪エキスポシティ)だけなので、この映画を極めたいのならば遠征を勧めたい。


 また本作はアクションパートはIMAX中心、セリフ中心のドラマパートはワイド画面中心と複合フォーマットであり、極端な画角差がある。だが、こうした画格差はフルフレームIMAXの場合、むしろ強弱の利いた切り替わりがインパクトを与え、興奮を生み出す一助となる。いささか通好みな楽しみだが、先のオーディトリアムはそれを可能にさせてくれる。


 なにより劇場選びもさることながら、先の実験的アプローチを可能にしたのは、やはりノーラン自身のステータスのなせるワザだろう。もともとアート系の性質を持つ作家が、ワーナー・ブラザース映画への興行的貢献を手形に、ハリウッドメジャーのグラウンドへと上がってきた。そして制作のイニシアチブを握る立場になったことで、作家主導でリスクの高い企画を通すことができるようになったのだから。



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