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『メメント』探偵物・復讐劇の定型を覆すノーランの傑作リバースムービー※注!ネタバレ含みます。

『メメント』探偵物・復讐劇の定型を覆すノーランの傑作リバースムービー※注!ネタバレ含みます。

※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


 黒の背景に「MEMENTO」の文字。タイトルを残したままフェードインするポラロイド写真には、後頭部を撃たれ床に倒れた男。写真を持つ左手が時折振られ、写っている男と血まみれの部屋が次第に色あせてゆく。視点が写真を持つ人物(ガイ・ピアース)の前方に切り替わり、ポラロイドカメラにプリントが吸い込まれストロボが光る時点で、逆再生の映像であることが明白になる。ピアースの右手に吸い寄せられるように収まる銃。転がり出した空薬莢が銃に、血の付いた眼鏡が男の顔にそれぞれ戻り、次の瞬間に火を噴く銃、叫ぶ男――。


 『メメント』(2000)の独創的な2分弱のオープニングシークエンスは、強烈なインパクトを与えると同時に、この映画が時間を遡って進行することを予告する役割も担う。英国出身のクリストファー・ノーラン監督による長編第2弾で、ハリウッド進出作にもなった『メメント』は、練りに練った緻密な構成とジャンルの定型を覆す展開で特別な鑑賞体験をもたらしてくれる。


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「前向性健忘の主人公」の着想は実弟から



 本作が生まれるきっかけは、弟ジョナサン・ノーランとの会話だ。初監督作『フォロウィング』(98)が公開される前の1996年夏、ノーラン兄弟が車でシカゴからロサンゼルスまでの長旅をした際に、当時大学生のジョナサンは、心理学の講義で学んだ「前向性健忘」という症状にヒントを得た短編小説のアイデアを兄に明かした。


 「新たに記憶することができなくなった男が、妻の復讐を狙っている」という筋を大いに気に入ったクリストファーは、弟に小説を書きあげるよう励ますとともに、基本の筋を映画向けに発展させた独自の脚本を書くことにした。



 ジョナサンが2001年3月に米雑誌「エスクァイア」に発表した短編のタイトルは『Memento Mori』(ウェブサイトにも掲載されている。)これは欧米でよく知られたラテン語の表現で、Mementoは英語で"remember"を、Moriは"to die"を意味し、「(自分がいつか必ず)死ぬことを忘れるな」という警句として使われる。


 クリストファーは映画のタイトルを「MEMENTO」の一語にしたことで、「忘れるな、思い出せ」という主人公レナード(ガイ・ピアース)の心理状態を端的に示す題名になった。



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