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グレタ・ガーウィグとシアーシャ・ローナン。二人で築き上げた『レディ・バード』の役作り

グレタ・ガーウィグとシアーシャ・ローナン。二人で築き上げた『レディ・バード』の役作り


シアーシャとレディ・バード、3つの共通点



 ここであえてシアーシャの側からレディ・バードを見つめてみよう。すると、ここにもまた驚くほどの共通性が浮かび上がってくる。あらかじめ彼女が演じることが運命づけられていたんじゃないかと思えるほどだ。


 シアーシャ・ローナンといえば、『つぐない』(07)でアカデミー賞助演女優賞ノミネート、『ブルックリン』(15)では同主演女優賞ノミネートを果たした若き天才女優である。これまでのフィルモグラフィを見ると「慣れ親しんだ環境から一歩外に出て、新たな世界に身を投じる役」が貫かれている印象を受ける(もちろん本作もこれと同じだ)。なぜこのような役柄が多いのか。理由の一つは彼女が持つ透明感にあるのだろう。「染まっていない」からこそ、激動の中で境界線を越えるとき、その決定的な変化が鮮明になって浮かび上がる。それが映画の言いようのない魅力となるのである。


 また、シアーシャにとっての愛すべき故郷といえばアイルランドを置いて他にない。ロンドン、ニューヨークを始め世界の様々な大都市を拠点に忙しい毎日を送る彼女にとって、故郷のありがたみは幼い頃から心底身に沁みていたはず。グレタはかつて、とあるセレモニーの席でシアーシャがグリーンのドレスに身を包む姿を目にしたことがあったという。グリーンは紛れもなくアイルランドの象徴ともいうべき色彩。そこに故郷に対する愛情が見て取れて、グレタはずっとその光景が忘れられなかったそうだ。




 3つ目は自分の名前に対するフラストレーション。本作の主人公は周囲に向かって自分の名を本名クリスティンではなく「レディ・バードと呼んで!」と要求する。一方、シアーシャも幼い頃から初対面の人が自分の名前「Saoirse」を正確に発音できないことにフラストレーションを抱えて生きてきた(彼女自身は「サーシャ」と読むのだと説明している)。でも、ある時期から、むしろこの名前への愛情がひしひしとこみあげるようになったのだとか。これも本作の主人公がたどる心境の変化と驚くほどよく似ている。


 シアーシャは本作の脚本を読んですぐに感情移入できたというが、その背景には、これらの相通じる要素も強く影響していたのではないだろうか。



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