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『ミーン・ガールズ』どうしてみんな夢中(obsessed)なの?

(c)Photofest / Getty Images

『ミーン・ガールズ』どうしてみんな夢中(obsessed)なの?

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物語は存在しない? 原作について



 本作はロザリンド・ワイズマンのノンフィクション「女の子って、どうして傷つけあうの?―娘を守るために親ができること」(原題: Queen Bees and Wannabes)が原作である。ワイズマンが10年以上かけて何千人もの女の子たちにリサーチを行ったこの本では、思春期に入った女の子たちの行動原理、学校でどのような社会/派閥が形成されているのか、そこから発生する女の子同士特有のいじめのメカニズム、それに対して親はどう対処すればよいのかなど、具体的な事例を用いて詳細に紹介している。一言で表現するなら「子育てHow to本」だ。断片的な事例のみが紹介され、そこに物語は存在していない。


 よって、映画で描かれる、アフリカから転校してきた高校生のケイディが、学校で一番人気な女子グループ「プラスチックス」に潜入し、学校を牛耳る凶悪な女王レジーナ・ジョージの統治を終わらせようするストーリーは、脚本を担当したティナ・フェイによるオリジナルなのである。



『ミーン・ガールズ』(c)Photofest / Getty Images



ティナ・フェイと「サタデー・ナイト・ライブ」



 本作の脚本と出演を務めたティナ・フェイは、「サタデー・ナイト・ライブ(以降、SNL)」出身の女優兼脚本家。「SNL」はアメリカ三大ネットワークテレビ局のひとつであるNBSで、毎週土曜の夜に生放送されているコメディ番組だ。毎回ゲストがホスト(司会)を務め、コメディアンたちによるスケッチ(コント)の間に生バンドの演奏が挟まれる。2023年で第48シーズンを迎える「SNL」は、コメディアンがスターへと上がる登龍門であり、古くはジョン・ベルーシやエディ・マーフィ、マイク・マイヤーズ、クリス・ロック、最近でもケイト・マッキノンやピート・デイヴィッドソン、さらには『ドント・ルック・アップ』(21)を監督したアダム・マッケイといった名だたるスターがこの番組から輩出された。


 97年からこの番組に参加していたフェイは、99年に前任者のアダム・マッケイからの推薦で女性初のヘッド・ライター(ライターやコメディアンのネタを取捨選択する番組の責任者)に抜粋された。ヘッド・ライターとして活躍している最中、偶然ワイズマンの原作を知ったフェイは、「SNL」のプロデューサーだったローン・マイケルズに映画の話を持ち込み、マイケルズと繋がりがあったパラマウント経由で映画の原作権を獲得した。前述したように、ゼロから物語を生み出す必要があったフェイは、原作を換骨奪胎、紹介されている事例の中から特にエゲツないトピックを抽出しつつ、そこに自分自身の高校生活を振り返りながら物語を作り上げていった。


 脚本家とプロデューサーが「SNL」のスタッフということもあり、本作は「SNL」のコメディアンたちも出演している。ロン・デュバル校長役のティム・メドウス、レジーナの母親役のエイミー・ポーラー、ケイディの母親役のアナ・ガステヤーの3人に加え、フェイ自身も数学の教師であるシャーロン・ノーバリー役で出演、登場して10秒足らずで服を脱ぎ始めるという、コメディアンとしての矜持を見せつけてくれる。





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