『グランツーリスモ』あらすじ
世界的大ヒットのドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中なヤン。父親からは「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」とあきれられる日々。そんなヤンにビッグチャンスが訪れる。世界中から集められた「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを、本物の国際カーレースに出場するプロレーサーとして育成するため、競い合わせて選抜するプログラム「GTアカデミー」だ。プレイヤーの並外れた才能と可能性を信じて「GTアカデミー」を立ち上げたひとりの男(オーランド・ブルーム)と、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと思いながらも指導を引き受ける元レーサー(デヴィッド・ハーバー)、そしてバーチャルなゲームの世界では百戦錬磨のトッププレイヤーたちがそこに集結。彼らが直面する、想像を絶するトレーニングやアクシデントの数々。不可能な夢へ向かって、それぞれの希望や友情、そして葛藤と挫折が交錯する中で、いよいよ運命のデビュー戦の日を迎える───。
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ゲーマーがプロレーサーに!実話を映画化
「ゲームなんかやってないで、勉強しなさい!」ゲーム好きな子どもたちは、親からこのような叱責を受け続けてきた。しかし最近では、ゲーム競技「eスポーツ」の台頭などで、その状況がほんの少しだけ変わり始めているのかもしれない。ここで紹介する『グランツーリスモ』(23)は、そんな“ゲーマー史上最大の成功”といえる実話を映画化した作品だ。
映画のタイトルは、PlayStationのゲームソフトとして、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(旧称SCE)からシリーズが発売され続けている、ドライビングシミュレーター「グランツーリスモ」からきている。リアルな車の挙動や緻密に作り込まれたサーキットコースなど、プロのレースを擬似的に体験できるゲームだが、これをプレイし続けた少年が、なんとプロレーサーとしてデビューしていたのだ。
『グランツーリスモ』
PlayStationとNISSANが協力して発足した「GTアカデミー」は、2008年より「グランツーリスモ」でオンライン予選をおこない、世界のトッププレイヤーたちを集めてプロドライバーの養成をスタートさせた。映画『グランツーリスモ』の主人公となるのは、実際に9万名の参加者の中から予選を突破し、アカデミーのカリキュラムを経てプロレーサーに成長したヤン・マーデンボローだ。演じるのは俳優のアーチー・マデクウィ(『ミッドサマー』/19)だが、自身の役のカースタントを務めているのは、ヤン・マーデンボロー本人だという。
本作で驚かされるのは、一部脚色はあるものの、基本的に描かれているエピソードがほぼ実際に起こった事という点だ。ヤンがレーサーとして活躍するようになるまで、数々の試練を勝ち抜き、大きな挫折や過酷なレースを乗り越えようとするストーリーは、ほとんど映画の脚本や少年漫画の内容としか思えないほど、波瀾万丈な内容なのである。