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『第9地区』崖っぷちはチャンス!超大作の製作中止なくして、この異色SFは生まれなかった!

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『第9地区』崖っぷちはチャンス!超大作の製作中止なくして、この異色SFは生まれなかった!

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『第9地区』あらすじ

南アフリカのヨハネスブルグ上空に突如現れた巨大宇宙船。コンタクトを取った地球人が見たものは衰弱しきったエイリアンたちだった。。仕方なく彼らを「難民」として受け入れるのだが、難民キャンプの「第9地区」はもはやスラム化し地域住民の不満は限界に達してしまう。。そこでMNUと呼ばれる超国家機関は、エイリアンたちを新たな難民キャンプ「第10地区」へ強制移住させることを決定。プロジェクトの最高責任者であるエイリアン対策課のヴィカスは、早速準備に取り掛かかる。その後、強制移住の通達で訪れたエイリアンの家で謎の液体を浴びてしまうヴィカスは、原因不明の体調不良に悩まされ倒れてしまう。目をさますと何と自分の手がエイリアンの手に変態してきているヴィカス。事態を重く見たMNUはヴィカスを確保。嫌がるヴィカスをよそに様々な人体実験を施していく。生命の危険を感じたヴィカスはMNUを脱走し皮肉にも第9地区に逃げ込んでいくのだが。。


Index


時代の過渡期に生まれたハイブリッドな衝撃作



 時代の過渡期というものは必ずと言っていいほど、既存の枠組みから外に飛び出そうとする反作用が生じるものである。その点は映画も同じだ。VFXで成し得ること、描き得るビジョンにある種の限界が見えた09年、『第9地区』は突如として人々の前に降臨し、かつてない衝撃をもたらした。 


 ことの発端は、南アフリカのヨハネスブルグの上空に突如現れた巨大な宇宙船。どうやら上空で立ち往生してしまったらしく、そこから這い出してきた大量の宇宙人たちを、政府は難民として受け入れることになる。しかし彼らは宇宙人なのだし、地球人とは姿カタチも、文化も、それに考え方だって全く違う。共存なんてムリ。激しい抗議活動や暴動も頻発する。彼らは「第9地区」と呼ばれるエリアに隔離され、そこはやがて悪質な環境で犯罪が多発するスラムと化していく・・・。 


 ドキュメンタリー・タッチにSFアクションの要素を掛け合わせた本作の形態は、まさに「ハイブリッド」。言うなれば、主人公が不可思議な液体を浴び、徐々にその存在がエイリアンへと変貌していく姿とも一致している。さらに格差の拡大や、ヨーロッパ諸国における難民問題などといった世界情勢を先取り、いや“予言”していた作品として、いま見返してみても別の意味での驚きが湧き起こるのを禁じえない。 


 本作がもともと、ニール・ブロムカンプ監督による短編映画がきっかけとなって生まれたことはよく知られた話。だが、いざこの作品が長編化される上では、一つの大きな挫折、逆境が存在したのをご存知だろうか。 



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