挫折からの起死回生がチャンスをもたらした例は他にも・・・
ちなみにこの広大なる映画界で、製作中止の憂き目から起死回生した大作映画は他にどんなものがあるだろうか。思い巡らせてみたところ・・・そうそう!ものすごくタイムリーな作品として『 スパイダーマン:ホームカミング』があるではないか!
ソニー・ピクチャーズにとって肝入りで製作されてきた「 スパイダーマン」シリーズだが、『 (500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督による青春路線にシフトしてからはイマイチ時流に乗り切れず、12年と14年にシリーズを重ねた末、それ以降に続く予定だった3作目はあえなく製作中止される結果となってしまった。
主演のアンドリュー・ガーフィールドやヒロイン役のエマ・ストーン、さらにはマーク・ウェブ監督の心痛ぶりは察するに余りあるが・・・いやいや、彼らはむしろピンチをチャンスに変えて羽ばたくヒーローだったのだ。
ガーフィールドはその後、『 沈黙-サイレンス-』や『 ハクソー・リッジ』の主演で彼にしか成しえない新境地を切り開いたし、エマ・ストーンに至っては『 ラ・ラ・ランド』で主演女優オスカーを受賞。ウェブも本来の彼らしい作風に舞い戻り、”Gifted”と”The Only Living Boy in New York”という二本の長編映画を手掛けている。
そしてソニー・ピクチャーズにとっても、新たに主演を若返りさせてフレッシュにリブートさせた『スパイダーマン:ホームカミング』が世界的に大ヒットスタートを迎えるなど、すべてにおいて良好な結果を残している。まさに崖っぷちはチャンスの証。「結果は神のみぞ知る」ではあるものの、そこでどのような大胆な切り返しを行えるかによって、そこでもたらされるものも大きく変わっていくのではないだろうか。
1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンⅡ』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。
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