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『アメリ』悪夢的センスの監督が、人々を幸せにする挑戦に成功。今も愛され続ける映画

Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves

『アメリ』悪夢的センスの監督が、人々を幸せにする挑戦に成功。今も愛され続ける映画

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コンビで2作を撮った後にハリウッドへ進出



 監督のジャン=ピエール・ジュネにとって『アメリ』は4本目の長編映画。最初の2本は友人のマルク・キャロとの共同監督だった。ジュネ&キャロの長編第1作『デリカテッセン』(91)は、核戦争が終わって15年後のパリを舞台に、アパートも兼ねる精肉店で怪しいキャラクターが織りなすドラマ。2作目の『ロスト・チルドレン』(95)は“一つ目族”に誘拐された弟を探す怪力男が、少女との恋を育むファンタジックな物語。ともに未来を舞台にしているようで、美術はノスタルジック。ブラックなユーモアも織り交ぜ、この2作で彼らは強烈な作家性をアピールし、日本でもファンを増やした。


 ジュネ&キャロがハリウッドに呼ばれたのが次の『エイリアン4』だが、アメリカでの映画製作に馴染めなかったキャロが降板。ジュネは単独で同作を監督することになる。リドリー・スコット、ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャーという錚々たる名前が監督名に刻まれたシリーズを受け継いだジュネだが、作品の評価はフィンチャーの3作目と同じく賛否両論だった。『エイリアン4』のために約2年をハリウッドで過ごしたジュネは、再び母国フランスでの映画製作を決意し、単独で監督したのが『アメリ』である。



『アメリ デジタルリマスター版』Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves


 前3作では悪夢的な世界を際立たせたジュネが、その作風を一転。観た人を幸せな気分へと導くアプローチを軸に、過去の作品と同様にマニアックなセンスも詰め込み、主人公アメリ・プーランの日常を追っていく。


 22歳のアメリは、子供時代から空想好きで、モンマルトルのカフェでウェイトレスの仕事をしている。ある日、自宅アパートのバスルームで小さな箱を見つけた彼女は、その持ち主を見つけたことで“人を幸せにする”喜びにめざめてしまう。そんな彼女がニノという青年に惹かれ、自身の現実とも向き合うことに……。アメリの行動によって、ささやかな奇跡を体験する人たち。あるいはアメリとは無関係だが日常の些細な喜怒哀楽を味わう周囲の面々。それらの積み重ねで観ているこちらも妙に幸せな気分に浸っていくのは、ジュネの意図したとおり。




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