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【ミニシアター再訪】第25回 渋谷系の流行、ミニシアターの熱い夏・・・その2 『トレインスポッティング』とシネマライズの季節

【ミニシアター再訪】第25回 渋谷系の流行、ミニシアターの熱い夏・・・その2 『トレインスポッティング』とシネマライズの季節


 渋谷のミニシアター界をリードしていたシネマライズ。80年代半ばにスタートし、90年代に絶頂期を迎え、ゼロ年代も勢いがあった。


 33週間(約8週間)のロングランとなり、90年代の渋谷のミニシアター史を塗りかえた『トレインスポッティング』(96)。さらにライズの興行史1位となる『アメリ』(01)、3位の『ムトゥ・踊るマハラジャ』(95)、4位の『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)、5位の『ブエノスアイレス』(97)6位の、『ポンヌフの恋人』(91)等、次々に大ヒット作を世に送り出した(『トレスポ』は全体の2位)。


 シネマライズの代表者、賴光裕社長と賴香苗専務に取材に行ったのは13年の春だった。ご夫妻とは久しぶりの再会となり、劇場の歴史を振り返っていただいたが、時代の変化を感じるコメントもあった。


 そんな取材から3年後――。2016年1月にシネマライズは閉館を迎えた(最後の作品は『黄金のアデーレ』(15))。その最終日の光景は今も記憶の中にしっかり刻み込まれている(閉館レポートは単行本版には収録予定)。


 下の文章に登場する『トレインスポッティング』の続編『T2 トレインスポッティング』は17年に日本でも公開された。その時、主人公たちが帰るべきかつての家(=シネマライズ)がなかったのが悲しかった……。


※以下記事は、2013年~2014年の間、芸術新聞社運営のWEBサイトにて連載されていた記事です。今回、大森さわこ様と株式会社芸術新聞社様の許可をいただき転載させていただいております。


Index


33週のロングラン



 1996年、シネマライズは地下にあった映画館に加え、2階の劇場(元・渋谷ピカデリー)を再オープンし、2館体制のインディペンデント劇場となった。 


 2階のオープニング作品として上映されたのはユーゴスラヴィア出身のエミール・クストリッツァ監督の最高傑作『アンダーグラウンド』(95、ヘラルド・エース配給)。


 他に若きレオナルド・ディカプリオがドラッグ依存症の高校生を演じたアメリカ映画『バスケットボール・ダイアリーズ』(95、アスミック配給、11週上映)、幻想的な映像美が注目されたジャン=ピエール・ジュネ&マルク・キャロ監督のフランス映画『ロスト・チルドレン』(95、ヘラルド・エース配給、14週上映)、ウォン・カーウァイ監督のノワールな感覚の香港映画『天使の涙』(95、プレノンアッシュ配給、22週上映)、コーエン兄弟のアメリカ映画『ファーゴ』(96、アスミック=シネセゾン配給、17週上映)など、世界の映画界をひっぱる才人たちの意欲作が次々に2つの劇場で上映されていった。 


 そんな中でも興行界をゆさぶる衝撃となったのが11月に封切られた英国映画『トレインスポッティング』(96)である。英国のアーヴィン・ウェルシュが書いたベストセラーの青春小説を新鋭の監督、ダニー・ボイルが映像化した作品だ。 


 映画のコピーは「未来を選べ。90年代最高の“陽気で悲惨な”青春映画」。青春群像劇なので、ポスターには5人の登場人物たちが並んでいる。濡れたTシャツ姿のレントン、友人のベグビー、シックボーイ、スパッド、恋人のダイアンといったメンバーである。 


 写真はモノクロで、文字の周辺はオレンジ。色彩を抑え、あえて3色だけで構成したセンスのいいポスターになっている。顔をゆがめたり、めいっぱい気どったり、人物たちのドラマティックな表情が出ていて、作品への期待も抱かせる。 


 当時の個人的な記憶をたどり直すと、このビジュアルを初めて見たのは映画関係の場所ではなく、CDショップだった。渋谷にはタワーレコードやHMVをはじめとする輸入CDのショップが多く、新譜を見に行くのが習慣になっていたからだ。こうした店は新譜情報を載せたフリーペーパーも発行して、タワーレコード発行のPR誌「バウンス」96年11月号は『トレインスポッティング』がカバーを飾っている。 



◉パンフレットやCDジャケット、原作本まで統一されたデザインは、映画を強く印象づけた。右上はタワーレコードのPR誌「バウンス」掲載の広告。




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