2020.03.09
『ヴァージン・スーサイズ』あらすじ
1970年代のミシガン州。リズボン家には美しくてかわいく、それでいてどこか謎めいた5人姉妹がいた。ヘビトンボが、美しい郊外の街を覆いつくす6月、そんな5人姉妹の末っ子のセシリアが手首を切ってしまう。一命をとりとめたセシリアだったが、彼女は数日後、自宅で開かれたパーティーの最中、窓から身を投げて命を落とす。
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華麗なるコッポラ一族の“クイーン”、ソフィア・コッポラ
『ゴッド・ファーザー』(72)は、イタリア系マフィアのコルレオーネ・ファミリー盛衰史を描いた物語だった。監督のフランシス・フォード・コッポラが偉大だったのは、この作品を犯罪映画ではなく、一種のファミリー・ドラマとして構築した点にある。しかもコッポラは、家族の物語を本当に家族でつくってしまったのだ。
主人公マイケル・コルレオーネの妹役コニーを演じたタリア・シャイアは彼の妹だし、『ゴッド・ファーザー PARTⅡ』(74)で作曲を手がけたカーマイン・コッポラは彼の実父。そして『ゴッド・ファーザー PART Ⅲ』(90)でマイケルの長女メアリーを演じたのは、実娘のソフィア・コッポラだった(ちなみに、『ゴッド・ファーザー』の洗礼式のシーンで登場する赤ん坊も、生後間もないソフィアだ)。もはやコッポラ家自体が、映画界におけるコルレオーネ・ファミリーなのである。華麗なるコッポラ一族のリストを書き出してみよう。
フランシス・フォード・コッポラ/映画監督
カーマイン・コッポラ/作曲家(父)
イタリア・コッポラ/女優(母)
エレノア・コッポラ/映画監督(妻)
ジャン=カルロ・コッポラ/映画プロデューサー(長男)
ロマン・コッポラ/映画監督(次男)
ソフィア・コッポラ/映画監督、ファッションデザイナー、女優(長女)
マーク・コッポラ/映画監督(甥)
クリストファー・コッポラ/映画監督(甥)
ニコラス・ケイジ/俳優(甥)
ジェイソン・シュワルツマン/俳優(甥)
ロバート・シュワルツマン/俳優・歌手(甥)
ジア・コッポラ/映画監督(孫)
うーむ、壮観なり。まるで「映画産業に身を投じない者は、コッポラ家にあらず」と言わんばかりの陣容である。そんな華麗なるコッポラ一族をいま牽引しているのが、齢80を過ぎたフランシス・フォード・コッポラではなく、長女のソフィア・コッポラであることは、衆目の一致するところだろう。しかし彼女は当初、映画界と距離を置いていたのである。