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『アメリ』悪夢的センスの監督が、人々を幸せにする挑戦に成功。今も愛され続ける映画
『アメリ』あらすじ
幼い頃からひとりぼっち。空想の世界で過ごしてきたアメリはそのまま大人になり、モンマルトルのアパルトマンで一人暮らしをしながらカフェで働いている。バスルームで発見した宝箱を持ち主に返す冒険をきっかけに、誰かを少しだけ幸せにするお節介をコッソリと始めた。そんなある日、アメリは捨てられた証明写真を収集する不思議な青年ニノと出会い、初めての感情に戸惑い始めて…。
Index
日本のミニシアターの歴史での有名な逸話
日本のおけるミニシアターブームは、1980年代後半から2000年代初頭にかけて起こったが、特に渋谷のミニシアターはカルチャー全体を牽引。その中でもシネマライズは、ミニシアターの“聖地”的な存在として君臨し続けた。
1986年に開館したシネマライズは『トレインスポッティング』(96)や『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95/日本公開は98)など数多くのヒット作を送り出した。同館の最高興行収入を打ち立てたのが『アメリ』である。2001年の11月に公開が始まり、なんと36週ものロングランを達成。その人気は日本全国へ広がり、興行収入は総計16億円に達した。ミニシアター映画としては異例の数字である。
『アメリ デジタルリマスター版』Ⓒ2001 UGC IMAGES-TAPIOCA FILM-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves
あまりにも有名なのは、この『アメリ』の日本配給のエピソードである。配給会社はアルバトロス・フィルム。どちらかと言えばマニアックなテイストの作品をカラーとする同社の叶井俊太郎氏が、『エイリアン4』(97)の監督(ジャン・ピエール・ジュネ)の新作で、ストーカー女性の映画だと信じ、完成前に買い付けたところ、シネマライズに多くの観客を集めるような“おしゃれ”な側面をもつ作品だった……という話は、当時映画業界では大きな話題になった。この『アメリ』の想定外の成功によって、2003年には叶井氏をモデルに、インディペンデントの映画会社を描くTVドラマ「東京ラブ・シネマ」が制作され、“月9”枠で放映。叶井氏に当たる役を江口洋介が演じたことで、またも映画業界は騒然となった。
『アメリ』は母国フランスでも2001年のナンバーワンヒットを記録。米アカデミー賞でも外国語映画賞(現・国際長編映画賞)、脚本賞、美術賞、撮影賞、音響賞の5部門でノミネートされるなど、世界的なブームを巻き起こしたのである。