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『バグダッド・カフェ』“修理が必要なコーヒーマシン”が象徴する「心」の物語

『バグダッド・カフェ』“修理が必要なコーヒーマシン”が象徴する「心」の物語

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80年代ミニシアターでのロングランヒット



 日本で『バグダッド・カフェ』が初公開されたのは1989年3月だ。当時、東京では最先端の個性的な映画を上映するミニシアターが注目されていたが、この作品は公園通りにあったミニシアター、シネマライズで封切られ、17週間(約4か月)のロングラン公開となった。監督も出演者も特に有名ではなく、アメリカを舞台にしながらも、ドイツとアメリカの資本で作られている。ヒットするような派手な要素は何もなかったはずだが、その良さがじわじわと浸透し、80年代の渋谷を代表する人気作品の1本となった。


 そんな日本の初公開から、今年2019年は30周年という節目の年を迎える。時間の経過と共に忘れられてしまう映画もあるが、『バグダッド・カフェ』は今も根強い人気を獲得している。昨年のカンヌ映画祭では『自転車泥棒』(48)や『アパートの鍵貸します』(60)、『めまい』(58)といった往年の名作と共に<カンヌ・クラシック>のプログラムで上映され、ドイツ人の監督、パーシー・アドロンを感激させたという。




 この作品以外にも日本で公開された彼の監督作はあるし、主演のマリアンヌ・ゼーゲブレヒトにも他の出演作はあるが、それでも、彼らの生涯の代表作は『バグダッド・カフェ』につきるだろう。スクリーンの中ではゆったりした時間が過ぎていくだけだが、一度、見ると主人公たちを愛さずにはいられなくなる。自分もそのカフェの住人になったような気持ちになるからだろう。


 舞台になったカフェは、アメリカのロサンゼルスとラスベガスの中間に位置していて、実在している。ただ、映画に登場するカフェには、おとぎ話の中のネバーランド(どこにもない場所)のような感覚があり、ひとつの理想郷として描かれる。だからこそ、そのカフェに行ってみたい、と誰もが心の中で望んでしまうのだろう。



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