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『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』父子の関係を再定義する、モーションキャプチャー・ムービー

(c)Photofest / Getty Images

『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』父子の関係を再定義する、モーションキャプチャー・ムービー

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『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』あらすじ

ある日、少年記者・タンタン(ジェイミー・ベル)は、莫大な財宝を積んだまま、忽然と姿を消したと言われるユニコーン号の模型を手に入れる。ところがその直後から、彼は見知らぬ男たちに追いかけ回されるハメになる。拉致されてしまったタンタンは、相棒である犬のスノーウィと共に、カラブジャン号の船内で目を覚まし…。


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子供のためのインディ・ジョーンズ



 半世紀に及ぶキャリアで、スティーヴン・スピルバーグは様々な大ヒット・シリーズ映画を世に放ってきた。「インディ・ジョーンズ」シリーズ(監督、製作)、「ジュラシック・パーク」シリーズ(監督、製作総指揮)、「グレムリン」シリーズ(製作総指揮)、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(製作総指揮)、「メン・イン・ブラック」シリーズ(製作総指揮)、「トランスフォーマー」シリーズ(製作総指揮)。スピルバーグ本人が監督を務めた続編映画の数は決して多くないのだが、プロデュースも含めるとシリーズ作品は多岐に渡る。


 『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11)も、本来は三部作の第一弾として考えられていたが、いまだに第二弾・第三弾の声は聞こえてこない。原作は、コミック作家エルジェによるバンド・デシネ。少年記者タンタンが、愛犬スノーウィと共に世界中で冒険を繰り広げるアドベンチャー・ロマンだ。刊行された全24話のエピソードはこれまでに80ヶ国以上の言語に翻訳され、発行部数は3億部を優に超える。スピルバーグもこの漫画に夢中になった一人だった。


 きっかけは、『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(81)を論じたフランス語の批評文。そこには、“Tintin”という謎のワードが頻出していた。アシスタントに翻訳してもらったところ、“タンタン”という少年が活躍する漫画であることが判明。『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』と「タンタンの冒険」を比較した論評だったのである。



『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(c)Photofest / Getty Images


「その批評家は、私がエルジェのファンに違いないと言っていた。私の映画とエルジェの作品を比較していたが、その時に彼のことを初めて知ったんだ。すぐにアシスタントにフランス語の本を買ってきてもらったよ。言葉は読めなかったけれど、すべてを理解することができた」(*1)


 まるで、子供のためのインディ・ジョーンズ。「タンタンの冒険」を読んだスピルバーグは、そんな想いを抱いた。だとするなら、この漫画を映画化するのは自分しかいない!さっそく彼は、脚本家のメリッサ・マシスンにコンタクトを取り、シナリオの執筆を依頼。『E.T.』(82)の脚本を書いた彼女ならば、「子供のためのインディ・ジョーンズ」に適任だと考えたのだろう。


 スピルバーグはメリッサ・マシスンが書き上げたシナリオに満足はしたものの、熱狂的なエルジェのファンに受け入れられるかどうか、いまひとつ確信が持てなかった。そうこうしているうちに別の映画で多忙を極めてしまい、「タンタンの冒険」のプロジェクトは棚上げされることに。一度中断した企画は、そのまま流れてしまうのが映画業界の常。だが、スピルバーグの心に灯った火が潰えることはなかった。最初に漫画と出会った1981年から、やっと公開に漕ぎ着けた2011年まで、30年という長きに渡って彼はタンタンのことを考え続けてきたのである。




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