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『ブリグズビー・ベア』冒頭15分に驚きがいっぱい!? スピルバーグを魅了したコメディ界の異才が送る、着ぐるみクマさんの奇妙な大冒険

『ブリグズビー・ベア』冒頭15分に驚きがいっぱい!? スピルバーグを魅了したコメディ界の異才が送る、着ぐるみクマさんの奇妙な大冒険

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緻密に計算された冒頭15分。それを仕掛けたコメディアンたち



 映画は唐突に、ノイズの入った映像で幕をあける。再生されるのは「ブリグズビー・ベア」。可愛らしい着ぐるみのクマさんが、あどけない表情で大冒険を繰り広げる子供向けビデオ教材、のようだ。主人公ジェームスの元には毎週これが一本ずつ届く。子供の頃から見続けてきた彼も今では25歳だが、未だに届き続けている模様。それもVHSで。すでに本棚には収まりきらないほどのテープがぎっしりだ。


 誰にでも子供の頃にハマったTV番組のひとつやふたつあるはず。本作もまず最初に刺激されるのは、そういったノスタルジーの感覚だろう。が、そうやって胸をキュンキュン鳴らせていると、事態は思いがけなくも予想を遥かに超える展開へと突入していく。




 通常だと、映画の大きな仕掛けは後半部分で炸裂するケースがほとんどだが、本作の場合、ある意味「冒頭15分」こそが最大の山場と言っていいだろう。覆われたベールを一枚、また一枚と剝ぐかのように「主人公が今いる場所」を巧みに伝えていく作り手たち。これが長編映画への初挑戦だというが、こんな筆致を見せつけるなんてタダモノではない。一体、彼らは何者なのかーーー。


 調べてみると、やはりタダモノではなかった。本作は「 サタデー・ナイト・ライブ」などにも名を連ねるメンバーが、その仕事の合間を縫うようにしてユニークな創造性を思いきり炸裂させた快作なのだ。近年、『 ゲット・アウト』(2017)や『 ビッグ・シック』(2017)など、コメディ界のクリエイターたちが従来の映画とは全く違った発想や語り口で新たな風を吹き込ませるケースが相次いでいるが、『ブリグズビー・ベア』もそれと同様の革新性に満ちた作品と見ていい。


 おそらく「あらすじ」を最初に文字で読んでしまうと、変な先入観に引っ張られて、何やら深刻な映画にさえ思えるだろう。しかし実際に作品に触れるとその印象はまるで違う。あらゆるシーンにエッセンスとしてのコメディ性が内包され、観客の目線を常に人生の明るい方へと向けさせる。この飄々としていて実は緻密に計算された匙加減は、やはり長年コメディの領域で研鑽を積んできたからこそなし得る、彼らの持ち味ともいうべきものだろう。


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