エッセンスとして取り入れた『ワイルド・バンチ』の冒頭演出
多くの映画がそうであるように、この仕事の陰にもリッチー監督から使命を託されたデザイナーの姿があった。手がけたのはモーション・グラフィックを得意とするスチュアート・ヒルトンとイアン・クロスというクリエイター・チーム(クレジットでは「タイトル・デザイナー」という肩書きになっている)。元々CMを中心に手掛けてきた彼らは、どのようにしてたった1分ほどの短い尺にコンセプトをぎゅっと詰め込み、観客の記憶の中で何度も再生され続ける名作タイトル・バックを生み出したのか――――。
実は、最初の時点ですでに共通認識のアイディアとして挙がっていたのは、傑作『 ワイルド・バンチ』の手法だったとか。
『 ワイルド・バンチ』予告
サム・ペキンパー監督による『ワイルド・バンチ』の冒頭には、登場人物の紹介も兼ねたかなり長めのシークエンスがある。このくだりでは、印象的な瞬間にて画面がその都度、二色刷りの印刷物のような質感となって静止。そこにすかさずキャストやスタッフのクレジットが挿入される。シンプルながら静かな凄みを感じさせる構成だ。「『スナッチ』でもこれに似た手法が使えないだろうか」。そういった発想を出発点に、本作では独自の展開が切り開かれていくこととなる。